突然ですが、あなたがいる場所を見上げてみてください。そこに「カメラ」は見つかりましたか?
今やあらゆるところで私たちの暮らしの安全を支えている防犯カメラ。近年は、通話機能やAIによる画像解析など、テクノロジーで進化したさまざまなカメラが開発され、従来の「犯罪の防止」に加え、自宅や教育・介護施設といった場所での「見守り」目的でも活躍しています。
そこで今回は、防犯カメラの基本から、蛍光灯とカメラが一体化した最新サービスまで、防犯のスペシャリストにお話を聞いてきました。
目次
「防犯」だけじゃない! 大切な人やペットを「見守る」ためのカメラが増加中
まずは、トータル防犯アドバイザーの京師美佳さんに、「防犯カメラ」の用途や種類、選び方について教えていただきましょう。
トータル防犯アドバイザー 京師 美佳(きょうし・みか)さん
百貨店のエレベーターガール、商社の営業職、セキュリティ企業をへて、防犯ガラスメーカーでセキュリティ事業部長、防犯アドバイザーとして活動。2005年に独立、京師美佳セキュア・アーキテクトを設立し、テレビ・新聞・雑誌など多方面で防犯情報を発信中。
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- ※取材はオンラインで行いました。
現在、家電量販店でもさまざまな種類の防犯カメラが販売されています。こうしたカメラのニーズは高まっているのでしょうか。
「そうですね。企業や店舗だけでなく、一般のご家庭でも防犯カメラを設置する方が増えています。以前は、不法侵入や窃盗などの被害にあわない限り、カメラを設置しようと考える方は多くありませんでした。しかし近年は、PCやスマホなどから映像を確認できるネットワークカメラが手頃な価格で手に入るようになり、『防犯』だけでなく『見守り』といった用途でのカメラの普及が進んでいます。
中には、相手が端末を操作できなくても、こちらからアクセスして通話ができる機能を持ったものもあるので、カメラを通じて留守番中の子どもや、遠方にお住まいの両親とコミュニケーションを取ることもできますよ」
京師さんご自身も、見守り目的でカメラを使われますか?
「私の両親の場合、スマホに電話しても気付いてくれないことが多いんです(笑)。そこでリビングにネットワークカメラを置いてもらい、電話を取ってもらえない時は自分からアクセスして『テレビ観てるのか』と様子を確認したり、カメラ越しに『お母さん、電話取って』と呼びかけたりしています。家族が詐欺などの被害に合わないために、電話以外の形でもコミュニケーションをしっかり取っておくことはすごく大切なんです」
家庭の他に、最近になってカメラが使われている場所を教えてください。
「一部の幼稚園や保育園では、ネットワークカメラを設置して、子どもが遊んだり昼寝したりしている様子を、園外から確認できるようにしているところがあります。園内でのお子さんの様子を知りたいと思う保護者の方も多いんですよ。同じような理由で、最近はペットショップにもネットワークカメラが設置されています。旅行に行くためにペットを預けた飼い主の方が、旅先からペットの様子を確認できるサービスを提供しているんですね」
現在主流のカメラのタイプは3つ
- 威嚇効果に優れている「スタンダード型カメラ」
- 天井などに取り付けられる「ドーム型カメラ」
- スマホなどから映像の確認ができる「ネットワークカメラ」
カメラには、家庭用と業務用の違いはありますか?
「特に違いはありませんが、家庭でお使いになる場合は、コンセントを挿すだけといった、簡単に設置できるタイプがオススメです。高スペック=高価格なので、画質が良すぎるものや機能の多すぎるものは、家庭用には向きません。最近では、3D顔認証やAIでの画像解析など、最先端のテクノロジーを利用したカメラも出てきていますね」
人の感情まで読み取る防犯カメラも
人は感情が変化すると、まばたきの回数が増えたり、頬が震えたりするなど、反射的な運動が体に出ます。そうした“振動”をカメラの映像から読み取り感情を可視化するのが、10万人以上の実験データを元にロシアで開発された防犯監視システム「DEFENDER-X」。不審者検知の正確性は高く、万引きや強盗など犯罪防止のほか、イベント会場で体調不良者を見分けるといった用途にも利用できるそう。
◯◯になったつもりで考えよう。防犯カメラ選び、これだけは押さえておきたい3カ条
防犯カメラの選び方について教えてください。
- 設置場所を決める
「まず最初に考えなければならないのは、カメラを付ける場所が室内なのか室外なのか。ご自宅の場合、基本的には玄関口や、ベランダ、掃き出し窓などといった侵入経路に付けます。ただし、その家ごとに侵入経路は変わってますから、泥棒になったつもりで『自分の家を見たとき、どこから侵入したいか』を考えてみましょう」
- 最適な形状や機能を決める
「屋外であれば、防水機能があるといいですね。さらに、駐車場に取り付ける場合は犯罪者を威嚇できるよう、いかにも防犯カメラといった形状のスタンダードタイプが適しています。屋内では、リビングなどで使う場合、おしゃれな球体型や、ロボット型のカメラがいいかもしれません。工事が必要なものは、ネットワークが有線か無線かによっても費用が変わりますので、デバイス+工事費で予算を見積りましょう」
- 有線タイプか、無線タイプかを決める
「内装を損なうことなく設置できる点と、どこでも設置できる点が、無線タイプのメリットです。ただし、一般家庭向けに販売されているカメラの場合、無線は有線よりもハッキングされる可能性が高くなります。心配であれば、有線タイプを使っていただく方が安全ですね」
1階と2階にそれぞれ1台ずつ設置したいなど、複数のカメラが必要なケースもありますよね。
「あくまでも威嚇が目的で、各所の映像を全て撮れなくてもいいということであれば、ダミーのカメラを取り付けるのもアリだと思います。ダミーカメラには、見るからに偽物と分かる安価なものもあれば、本物の防犯カメラから精密機械だけを抜いたものまで、さまざまな種類があります。後者の場合、見た目は販売されている防犯カメラと同じですし、電源の赤いランプが点くものであれば、犯罪者でも本物か偽物か見分けがつきませんよ」
本当に危険な人を見抜く方法とは?
犯罪者は、必ず現場を下見すると言われています。ウロウロ歩いたり、視線が定まらなかったり、見るからに挙動不審。電車内で痴漢やスリをする人も同じで、電車を何度も乗り降りしたり、ホームの中を周回したりするなど怪しい行動を取るため、よく観察していれば見分けることができるはずです。
農場でも防犯カメラの導入が進んでいる理由
防犯・監視の目的で、カメラの導入が進んでいる業界はありますか?
「農家のビニールハウスなどでも、センサー付きの防犯カメラが使われ始めています。スイカやメロンなど高級な果物は特に窃盗が多く、被害が数百万に上る場合もあるため、防犯カメラを設置して被害を最小限に抑えようという取り組みが進んでいるんです。一部のカメラでは、遠隔操作でスモークを出し、窃盗犯を追い払う機能も付いていますよ。
また、コンビニやスーパーなど小売りの店舗では窃盗防止だけでなく、スタッフなどの管理目的でもカメラが活用されています。これまで、エリアマネージャーが巡回をして、接客の指導をしていました。ところが、ネットワークカメラが普及してからは、スタッフがどのようにお客様と接しているか、現場に足を運ばなくても分かるようになったんです」
スーパーなど小売店の場合、防犯カメラを設置すれば、万引きGメンを雇わなくても済むのでしょうか。
「万引きGメンは、経験を基に怪しい人を見分けるプロなので、小売りの現場には必要な仕事だと思います。ただし、どうしても人件費が高くなる点がネック。万引きGメンを何人も雇えない場合は、遠隔から映像を確認できるカメラを併用することでコストを抑えられますし、管理コストも軽減できます。人の力とテクノロジーを併用するのが、ベストなのではないかと思います」
お店や企業が防犯カメラを導入するにあたっては、やはりコストが大きな壁になるのでしょうか。
「防犯カメラは、導入したからといって売上が上がるものではありませんからね。そういったコスト面の理由で、導入に踏み切れずにいる企業も多いと思いますが、初期費用ゼロで導入できるリースやレンタルのサービスも増えてきたので、ある程度導入しやすくなってきてはいます。
一方で、ビルの管理者に工事を許可してもらえなかったり、業者を指定されたりするといった、設置工事に付随する手続きの煩雑さや調整の面倒さも、ハードルを上げる要因になっています。例えばコンセントに挿すだけなど、配線工事の必要ない防犯カメラが増えれば、より多くの企業で導入が進んでいくと思いますね」
蛍光灯が防犯カメラに早変わり? IoTカメラサービス「SecuLight」とは
京師さんが、企業が抱える防犯カメラ導入の課題として挙げた「工事のハードル」。ここからは、蛍光灯とカメラを一体化することでそれらの課題を解消する新サービス「SecuLight」に迫ってみました。
「SecuLight」とは、株式会社MOYAIが開発したLED蛍光灯一体型カメラ「IoTube(アイ・オー・チューブ)」※を用いた、ソフトバンクのIoTカメラサービス。防犯カメラ本体(「IoTube」)から、4Gデータ通信サービス、クラウド環境、専用のウェブアプリケーション、運用・保守までをトータルで提供しています。
- ※
「IoTube」は、株式会社MOYAIの商標です。
「SecuLight」の主な特長は5つ。
- 現地に行かずに、遠隔から防犯カメラ映像を閲覧できる
- 防犯カメラ映像を保存できる
- 遠隔からデバイスの稼働状況を監視できる
- 映像へのアクセス権限を管理できる
- 万全なセキュリティー対策機能を完備している
使用方法は、既存のLED蛍光灯器具(40W形/1.2m)に防犯カメラ本体を装着するだけ。スピーディーな設置が可能で、特に次のような場所に適しています。
目的 |
場所 |
---|---|
防犯 |
電車、建設現場(インターネット回線のないプレハブハウスなど)、医療機関、簡易・移動型店舗、イベント会場、24時間営業のジム |
見守り |
介護施設、保育施設 |
遠隔での在庫管理・状況確認 |
コンビニ、スーパー |
「通常、電車内に防犯カメラを設置しても、痴漢やスリなどの犯罪者は死角を狙って犯行を行います。しかし、『SecuLight』のようなIoTカメラサービスの場合は、どこから撮られているか分からないため、心理的に犯罪を行いにくくなりますよね。電車内や公共施設など、人が密集する場所に設置していただけると、女性としては安心です」
MOYAIが開発した「IoTube」の製造現場から
鉄道向けの「IoTube」の場合、カメラ角度の調整を行うなどカスタムマイズを加えた上で出荷されています。また、「IoTube」内部のアンテナ位置や配線などの取り付けには高い技術が必要となるそう。それ故、工場では作業を確実に行うための治具や、各工程での検品ソフトの開発といった工夫が施されています。
最後に、ソフトバンクのプロダクト担当 廣瀬さんに「SecuLight」が目指す社会について教えてもらいました。
「誰もが安心して暮らせる社会を作るために、『安心・安全な明るい未来を実現するサービス』を提供していきたいと考えています。現在、外出自粛が続いている地域もありますが、現場で目視確認をしなければならない仕事に携わっている方も、その現場に通信機能付きのカメラが付いていれば、遠隔で状況を確認できるかもしれませんよね。『業務効率の改善』や『不安からの解放』といった形でも、社会やお客さまの課題解決に貢献するサービスとして『SecuLight』を成長させたいと思っています」
役立つ機能を備えたカメラで、暮らしに安心を
防犯カメラと聞くと「被害を防ぐために取り付けるもの」と思いがちですが、家族やペットを見守ったり、離れた現場の様子を確認したりと、さまざまな使い道があることが分かりました。「SecuLight」をはじめ、工事不要で簡単にネットワークカメラを取り付けられるサービスも増えています。自宅や職場など、それぞれの場所にどのような機能が必要か考え、最適なカメラを選びましょう。
IoTカメラサービス「SecuLight」の開発秘話はこちらからご覧ください
(掲載日:2020年6月5日)
文:佐藤由衣
編集:エクスライト
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June 05, 2020 at 01:00PM
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