Tuesday, September 15, 2020

インドネシア、イスラム教カリスマ指導者襲撃される 刃物で負傷、犯行の背景にあるものは - Newsweekjapan

<テロが多い国でも、イスラム教指導者が襲われるのは異例中の異例>

インドネシアのイスラム教指導者でカリスマ的存在である著名なウラマ(法学者)が9月13日、公開の場で行われていたイスラム教のイベントで壇上に駆け上がった若者に刃物で襲われ負傷する事件が起きた。

イスラム教指導者が公衆の面前で刺されるという異例の事件に政府、イスラム教組織などが素早く批判と事件の真相解明を治安当局に求める事態となり、折からのコロナ禍で頭を抱える政府にさらに頭の痛い事件となっている。

事件は9月13日午後5時20分頃、スマトラ島南部ランプン州の州都バンダル・ランプン市内で開催されていたイスラム教の行事で発生。壇上に座っていたカリスマ的指導者の一人として著名なシェ・アリ・ジャベル師(44)が、駆け上がってきた若者に刃物で襲われた。シェ・アリ師は右上腕部を刺され直ちに病院に運ばれて治療を受け、深さ約4センチの傷を負ったが命には別条はなく、容疑者もその場で取り押さえられ、逮捕された。

容疑者は24歳の若者、背後関係不明

ランプン州警察によると逮捕されたのはアルフィン・アンドリアン容疑者(24)で現在犯行動機について取り調べが進んでいる。同警察が地元マスコミなどに明らかにしたところによると、アンドリアン容疑者の家族から「同容疑者が以前精神的に不安定なことによる通院歴がある」との申し出があり、犯行は通常の判断ができなかった精神的問題に起因するものだとの主張があったという。

しかし同警察ではアンドリアン容疑者の犯行時の精神状態について独自に専門家による鑑定・診察をするとして、それ以外の犯行動機の可能性も視野に入れて広く捜査しているとしている。

一部ではアンドリアン容疑者とインドネシアのテロ組織との関係や中東のテロ組織「イスラム国(IS)」とのつながりを示唆する情報も出ているが、現時点でそうした組織的な背景の存在を示す明らかな証拠や情報はない、と治安当局はしている。

襲撃場面がSNSで全国に拡散

シェ・アリ師が壇上で襲撃される様子は動画で撮影されていて、直後からネットなどを通じて拡散した。壇上の椅子に座るシェ・アリ師の右側から突然容疑者が壇上に駆け上がって飛びかかりシェ・アリ師の右上腕部を手にした刃物で差す様子、そして被害に遭ったシェ・アリ師が立ち上がって容疑者に向かおうとする直後に周辺にいた人々が容疑者を取り押さえて殴る蹴るしている模様が異なるアングルからとらえられて映っている。インドネシア人の多くがこうした衝撃的な映像を目にしたのだ。

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September 15, 2020 at 05:55PM
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