日々の生活に癒やしを与えてくれるペット。しかし、そのペットがトラブルの原因となることもある。もしも、共同住宅でペット禁止のルールを破る住人がいたら──。そんな悩み相談に、弁護士の竹下正巳氏が答える。
【相談】 私の住んでいる分譲マンションは、ペット禁止です。しかし、隣の部屋から時々、猫の鳴き声が聞こえるので、猫を飼っていることがわかりました。ふだんはすごくうるさいわけではないのですが、やはり規則を守らないのは納得できません。とはいえ、理事会に告げ口したら私が逆恨みされそうなので迷っています。どうしたらよいでしょうか。(50才・女性)
【回答】 マンションは床や壁を共用する構造ですから、居住者による動物の飼育によって、その鳴き声・悪臭等から、しばしば住民間に深刻なトラブルが生じます。そこで、分譲マンションの管理規約で動物の飼育を禁止することがごく普通に行われています。
飼育禁止の規約がある場合でも、小鳥やモルモット、あるいは愛玩用の犬・猫などの小動物は許されるのではないかという意見があるかもしれません。
しかし、新たにペット禁止の規約を設けた例でも、「マンションの壁や床ひとつを隔てて生活するという特殊性から、他人の生活に影響する度合いが大きいので、ほかの入居者の生活の平穏のためにはある程度の規制はやむを得ない」として全面禁止の規制も有効と判断した裁判例もあるくらいです。
あなたのマンションで、管理規約で例外なく動物飼育が禁止されている場合には、猫を飼うのは規則違反です。違反している住民がいれば、管理規約を厳格に運用しているマンションでは、管理組合が飼育の中止を求めることになるでしょう。
要請に従わないときは、区分所有法の管理者が(多くは組合の理事長ですが)原告になって、違反住民を被告として飼育の中止を請求する裁判を提起できます。実際、規約の効力を認め、違反したペットの飼育中止を命じた裁判例がたくさんあります。
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February 26, 2021 at 02:00PM
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