米中貿易戦争を受け世界中の企業がサプライチェーン(供給網)を見直す中、インドネシアがこれを“追い風”にしようとしている。同国の経済拡大には、外国企業の誘致を阻む同国の労働と投資に関する規制を直ちに緩和するとともに、若い労働人口の受け皿を用意できるかが鍵を握ることになりそうだ。
近隣国がシェア侵食
衣料品の縫製工場が立ち並ぶインドネシアの中部ジャワ州。かつてはサトウキビや染料となるインディゴの畑ばかりだった。東南アジア繊維最大手のスリ・レジェキ・イスマン(スリテックス)の工場では、スウェーデンのファストファッション大手、ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)や米ファッションブランドのゲス、小売り大手米ウォルマートなどの衣料品の縫製を行い、何千台ものミシンがフル稼働している。
多くの米国企業が関税回避のため中国に代わる生産拠点を東南アジアに移転しようとする中で、インドネシアの繊維産業もここにきてにわかに活気づいている。だが、よりコストの安いベトナムやバングラデシュなどに少しずつシェアを奪われつつある。
インドネシアの製造部門は2001年国内総生産(GDP)の29%を占めたものの、現在は20%以下と縮小傾向で、その中で唯一気を吐いているのは繊維産業のみとなっている。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、アジア地域の商品輸出でインドネシアのシェアは2.3%で、マレーシアやタイの約3.1%を下回る。
ただ、インドネシアにはこの流れを逆転する可能性がある。それは巨大な労働市場だ。同国の人口は2億7000万人で世界第4位。年齢の中央値は30歳で、人口の73%が生産年齢人口だ。この巨大な労働市場をこの先の経済成長に結び付けられるかは、新たに労働市場に入る若い人たちが必要な技術を身に付けて職に就けるかどうかにかかっている。
人口増加が続くインドネシアは総人口に占める生産年齢人口比率の上昇が経済成長を高める「人口ボーナス」の恩恵を今のところ享受している。しかし、何の対策もなくこの状況が続くわけではない。昨年10月に5年の任期で再選を果たしたジョコ大統領は就任演説で「インドネシアは現在、人口ボーナスのピークを迎えている。優れた政治・経済環境の下に優れた人材を開発することができれば大きなチャンスとなるが、雇用が創出できなければ大きな課題になる」と危機感を募らせる。
外資呼び込みで後手
ジョコ氏は先ほどに行われた選挙で、1兆ドル(約108兆円)規模を誇るインドネシア経済をさらに拡大するため、雇用の創出と成長を阻む労働と投資に関する規制の改革を公約に掲げている。ただ、公約の実現に向けたハードルは高い。現在の労働規制や条件は州によって異なるうえ、複雑で重複しているためだ。世界最高水準の退職金制度については企業の不満が高まっており、投資を阻む大きな要因となっている。世界銀行によると、18年の海外直接投資の呼び込みで、インドネシアはGDPの1.9%と、ベトナムの6.3%、タイの2.6%に大きく水をあけられた状況だ。
東南アジア各国に共通する問題として、輸送機関を中心とするインフラの未整備、厳しい労働規則、外資による投資制限などが挙げられる。ただ、ベトナムやタイ、カンボジアなどは、貿易戦争が激化する以前から中国の人件費上昇を理由に中国から移転し始めた企業をインドネシアよりもうまく誘致してきた。
ジャカルタのペニダ・キャピタル・アドバイザーズのマネジング・ディレクター、エドワード・ガステリー氏は「インドネシアは脱中国の動きに対し何も対応しなかった。産業政策の改革を急がなければ、さらなる危険に陥るだろう」と警鐘を鳴らしている。(ブルームバーグ Karlis Salna)
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January 01, 2020 at 10:00AM
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インドネシア繊維が正念場 経済牽引 鍵は規制緩和と若者育成 - SankeiBiz
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