Monday, February 24, 2020

八丁堀の天ぷら名店の一日 こだわりの油、天つゆ、素材たち(NEWS ポストセブン) - Yahoo!ニュース

 天ぷらに欠かせない油は、綿実油をベースにゴマ油、米油、サラダ油、菜種油をブレンドした天ぷら油。割合は季節によって変えていく。粉はきめが細かく安定性のいいスーパーバイオレット。ときに国産小麦を混ぜて調整する。

 そして、こちらも天ぷらには必須、天つゆの出汁素材は、カツオ、本枯れ節、ソウダガツオ、マグロ、サバ節。築地「秋山商店」でブレンドしてもらっている

 揚げる素材も厳選されたもの。長崎・五島列島のキス。キスは通年で欠かせぬ食材。千葉、神奈川と産地は変わっていく。

 揚げたタケノコを炙り、最後に醤油をたらす。「僕の天ぷらの特徴はときに焦がしがあること。これで香りが出るんです」と志村さん。

 揚げたままで食べるだけでなく、塩、マグロ節、大葉などひと味加えて、旨味を引き出す皿も多い。温度や衣の厚さなども素材ごとに変え調整する。そんなオリジナル素材のひとつが、7日間寝かせた庄内産ヒラメに白ウドと大葉をのせた天ぷら。

 エビ、キス、フキノトウの盛り合わせには沖縄の天然塩が添えられる。食べ飽きることのない天ぷらには海外ファンも多く、ハリウッドのプロデューサーなども訪れる。ロンドンへの出店も計画中だ。

 休店日に山形県庄内地方へ行き、よりよい素材との出会いを楽しみにしている。庄内地方の豊かな食材と出会って約10年。今では「てんぷら小野」に欠かせない。庄内に入った志村さんは食材を求めてあわただしく駆け回る。月山の麓の進藤亨さんから入手したフキノトウは、柔らかくかぐわしい。山菜卸問屋「遠藤商店」の遠藤初子さんとも長い付き合いだ。野菜・果物の多くは、佐藤典子さんが経営する鶴岡市羽黒の産直「あねちゃの店」で仕入れる。

 たとえば今回のヒラメは酒田市の「さかた海鮮市場」の薄木正一社長から仕入れた。この日は白子で腹が膨らんだ寒鱈も入手。庄内浜の魚介は1年を通じて取り寄せる。

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