Wednesday, February 26, 2020

210日ぶりに帰ってきたネコも ペット探偵25年の奮闘記 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 ペットフード協会によると、日本で飼育されている犬や猫は全国で約1900万匹。犬も猫も室内飼育が増え、ペットというよりはコンパニオンアニマル(伴侶動物)として、家族同然の存在と思っている人は少なくない。15日発売の『210日ぶりに帰ってきた奇跡のネコ』(新潮新書)は、迷子になった犬や猫を捜してくれる「ペット探偵」の第一人者、藤原博史さん(50)の奮闘記だ。これまでに捜索した3千件の中からペットと家族をめぐる感動の実話を紹介している。

 「いっしょに暮らす人にとって犬や猫は、子供や友達、親など1匹でいろいろな役目を果たす側面を持っている。それだけに、いなくなったときのつらさは深刻で、そうした思いをする人を一人でもなくしたかった」。藤原さんは執筆動機をこう語る。

 空き巣が割った窓ガラスから逃走▽引っ越し翌日に消える▽連れ去られる-など、犬や猫が行方不明になる原因はさまざまだ。表題となった210日ぶりに帰ってきた猫は、飼い主が神奈川から大分へ引っ越した翌日にいなくなった。藤原さんの会社は神奈川県藤沢市にあるため、大分での捜索は出張費用もかかる。1回の依頼の捜索料金上限を100万円としており、みつかったのは捜索打ち切りぎりぎりのタイミングだったという。

 ただ、捜索は“ハッピーエンド”ばかりではない。路上で死んでいるのを発見、飼い主の元に届けなければいけないこともある。どんなに手を尽くしても約3割はみつけられないままだ。「7割の発見率は高い方だが、個々の依頼者にとっては見つからなければ成果はゼロで、つらい思いが続くことになる。発見率を100%に近づけるべく努力しているが難しい」

 幼い頃から生き物に関わる仕事に就きたいと思い、漁師などに従事。ある日、ペット専門の探偵になる夢を見たことをきっかけに、今の道に踏み出した。

 それから25年。紙のちらしを電柱に張りポケベルで連絡を受けながらの当初の捜索方法は、グーグルの地図やSNSを活用、発見者に写真をスマホで送ってもらうなど大きく変わった。発見率も上がってきたが、それゆえに依頼者の期待も高くなり、プレッシャーが強くなっているという。

 藤原さんは「おそらく1日約130匹、年間約5万匹のペットがいなくなり、そのうち少なくとも3分の1はみつからないままではないか」と推測。依頼は1日3~10件だが、対応できるのは1割程度に過ぎない。糸井重里さんが運営する犬猫SNSアプリ「ドコノコ」が昨年11月に公開した迷子捜しマニュアルは、藤原さんがこれまでに蓄積したノウハウを紹介したものだ。藤原さんは「一匹でも多くのペットが再びご家族の元に戻れるようになればうれしい。どんなに用心してもペットがいなくなることはあり得るが、飼い主さんには本書でさまざまな状況で行方不明になることを知ってもらい、可能なかぎり対策を取ってもらいたい」と話している。(平沢裕子)

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