Friday, April 10, 2020

[DaVinci Resolveで始めるカラーグレーディング]Vol.19 グレーディングを別のクリップに適用する - PRONEWS

txt:小島真也 構成:編集部

カラーを別のクリップに適用させる6つの方法

ご存知の通り、ドラマだけでなく映像コンテンツのシーンは、ロングからアップまでさまざまなカットで構成されている。そしてシーンのカット割りに色調やコントラストなどカラーの違和感を感じないよう統一感をもって、カラーグレーディングされている。

ひとつのクリップに思い通りのグレーディングができた時に、同様のカラーを別のクリップにも適用させたい。そんな場合、皆さんはどんな手法を用いているだろうか?筆者がザッと揚げただけでも以下の6つの方法がある。

(その1)メインメニュー→「編集」メニュー→「コピー」と「ペースト」

ひとつのノードだけだが、いわゆるテキストの「コピー&ペースト」と同じ操作でノードのグレーディングを「コピー&ペースト」できる(図01-01)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_02.jpg 図01-01
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(その2)「1つ前のクリップのグレードを適用」「2つ前のクリップのグレードを適用」

最初に画面中央を左から右に並ぶクリップから、グレーディングを適用したい目的のクリップを選択する。次にメインメニュー→「カラー」メニューにある「1つ前のクリップのグレードを適用」または「2つ前のクリップのグレードを適用」によってノードグラフ(すべてのノード構成)とグレーディングのすべてを適用できる。(図01-02)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_03.jpg 図01-02
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(その3)「選択したクリップにこのグレードをコピー」

同じく画面中央のクリップ上なのだが、今度はコンテキストメニューから操作する。最初にグレーディングしたいクリップ(複数のクリップでも可)を選択し、次に目標(見本や手本、ひな型と言った方が分かりやすいだろうか?)とするクリップ上で右クリックしてコンテキストメニューを開く。

「選択したクリップにこのグレードをコピー」を選び、ノードグラフとグレーディングを全適用する。3ボタン式マウスを愛用している場合は、中ボタンを使って同様の操作が可能だ(図01-03)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_04.jpg 図01-03
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(その4)ショットマッチ

「選択したクリップにこのグレードをコピー」とよく似た操作であり結果も似ているのだが、決定的に異なることはノードグラフは引き継がれず、グレーディングの結果だけが適用されること。

最初にクリップ上でグレーディングしたいひとつ、または複数クリップを選択し、目標とする見本クリップ上で右クリックしてコンテキストメニューを開く。そして「このクリップにショットマッチ」する(図01-04)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_05.jpg 図01-04
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(その5)メモリーに保存、メモリーをロード

まず目標とする見本クリップを選択し、メインメニュー→「カラー」メニュー→「メモリー」→「メモリーAに保存」(A~Hは任意)することでノードグラフとグレーディングのすべてがメモリーAに保存される。

次にグレーディングを適用したいクリップ(複数のクリップでも可)を選択し、メインメニュー→「カラー」メニュー→「メモリー」→「メモリーAをロード」(A~Hは任意)をクリックして適用する。※便宜上、メモリーとロードを同時に図表化している(図01-05)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_06.jpg 図01-05
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なお、このメモリーのグレーディング情報はDaVinci Resolveを終了してもリセットされないので、同じプロジェクト内ならば次回起動時にもメモリーのロードが有効だ。

(その6)ギャラリーのスチル

画面左上のギャラリーパネルに登録される「スチル」は、動作的にはこれまでの「コピー&ペースト」と大差ないのだが、機能の考え方がユニークだ。

ギャラリーへの登録方法はいたって簡単。

グレーディング済みのクリップを選択してビューアに表示し、そのビューア上でコンテキストメニューを開き、「スチルに保存」をクリックするだけ。今後のためにも、登録した「スチル」のコンテキストメニュー→「ラベルを変更」からスチル名を付けておくと良いだろう。(今回は「夕景」とした」)(図01-06)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_07.jpg 図01-06
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スチルには、ノードグラフとグレーディング情報がすべて保存され、コンテキストメニューからいつでも他のクリップに適用できる。ただし、グレーディングの適用には、「置き換え」と「追加」という2種類があるので注意が必要だ。

グレーディングを適用したいクリップを先に選択し、スチル上からコンテキストメニューの「グレードを適用」する。しかし、すでにグレーディングが進んでいるクリップでは、現在のノードがすべてリセットされ、スチルのノードグラフに置き換わってしまうのだ(図01-07)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_08.jpg 図01-07
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現在のノードを生かしたまま、スチルのノードグラフを追加したい場合は、コンテキストメニューから「ノードグラフを末尾に追加」を選ぶこと(図01-08)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_09.jpg 図01-08
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さらにギャラリーの特徴として、現在のタイムラインだけではなく、他のプロジェクトのクリップにも適用可能な「PowerGrade」という機能がある。

この機能を有効にするには、ギャラリーのサイドウィンドウを開き、「PowerGrade」に、他のプロジェクトでも流用したいスチルをドラッグ&ドロップして移動する(PowerGradeだけでなくスチルパネルにも残したければ、Command+option(WindowsはCtrl+Alt)しながらドラッグ&ドロップすればコピーとなる)(図01-09)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_10.jpg 図01-09
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これでプロジェクトを横断して自由にスチルの適用が可能になる。

ギャラリービュー

最後に、別ウィンドウとして開く「ギャラリービュー」というスチルの管理画面ツールを紹介しよう。ギャラリービューはギャラリーパネル右上のアイコンから開く(図02-01)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_11.jpg 図02-01
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ギャラリービューの上半分には「DaVinci Resolveルック」とそのサムネールが並び、下半分には「プロジェクトメモリー」と「プロジェクトスチル」のサムネールが並ぶ(図02-02)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_12.jpg 図02-02
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「DaVinci Resolveルック」には、ブリーチバイパスやムーンライト、マジックアワーといった演出されたカラーのひな形(ルック)が収められていて、LUTやエフェクトとは一味違ったカラー効果が期待できる。

これらルックは通常のスチルと同様に、右クリックのコンテキストメニュー/「グレードを適用」からクリップに適用できる。

気に入ったDaVinci Resolveルックをもっと気軽に使うには、ギャラリービュー下半分のプロジェクトスチルにドラッグ&ドロップして登録することでギャラリーパネルに表示されアクセスが楽になる(図02-03)。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/04/dr-19_13.jpg 図02-03
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また、ギャラリービュー左下には先の「メモリーに保存」されたサムネールが一覧表示されているので、プロジェクト内で登録したスチルやPowerGradeも含めて、視覚的にスチルとメモリーの整理整頓に役立つだろう。

別のクリップにグレーディングを適用する方法をいろいろと紹介した。皆さんの作業効率が少しでも上がればと思う。


小島真也 Blackmagic Design認定トレーナー、写真家、撮影監督。赤坂スタジオを経て、篠山紀信氏に師事。1990年に独立後は雑誌、広告界にて人物、ドキュメンタリーを中心に写真家活動。動画へのきっかけはFinal Cut Studio 5.1を導入し映像編集を始めたこと。商業映画や自主映画では撮影監督として撮影・照明・カラーグレーディングを担当し、TVドラマでは撮影部として参加。

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