Tuesday, August 4, 2020

【ジャカルタレター】漁船で虐待死続出、インドネシアで高まる反中感情 - SankeiBiz

 ここ数カ月、立て続けに中国漁船で働いていたインドネシア人の船員が、過酷な労働環境の下、死亡する事例が報告されている。

 7月に入って、中国漁船の冷凍庫から20歳の船員の遺体が発見されたという報道があった。この船は、1月からイカ漁を続けており、船員の死亡後も最寄りの漁港で遺体を陸に下ろすこともしなかった。7月8日、他の船員が携帯電話の通話可能地域に入った際、「破壊的漁業監視団(DFW)インドネシア」という非政府組織(NGO)に通報。DFWが海軍などに連絡し、同日中に中国船を拿捕(だほ)、遺体の発見に至った。

 遺体隠蔽・遺棄も

 今回の通報先となったDFWは、外国船舶で働くインドネシア人の保護活動をしている。多くの船員は長時間労働や虐待行為、給料が払われないなど不適切な労働環境の中で搾取されているとし、中部ジャワや北スラウェシにセンターを設け、国内、外国籍問わず船員として働く人たちに対し、搾取されない予防措置として情報提供や事前研修などを行っている。

 中国漁船で操業中に死亡したインドネシア人の船員の遺体が海に捨てられたという報道が5月にあり、6月にも4人の船員の死亡が報告されていた。また、マラッカ海峡を通過中の中国漁船から、暴行を受けていたインドネシア人船員2人が泳いで脱出したという事件も大きなニュースとなった。

 これら一連の事件を受けてインドネシア外務省は中国政府に抗議し、ジュネーブの国連人権委員会での非公式協議でも、労働者の人権が軽視されていると懸念を表明している。一方の中国政府は、問題解決に消極的な態度を見せており、インドネシア国民の反中感情は高まっている。

 政府の対応に批判

 反中感情の広がりは、インドネシア人船員に対する劣悪な労働環境問題だけからではない。新型コロナウイルス禍において、海外からの渡航制限があり国民の移動制限も長期化し、さらには仕事を失う人々が数多くいる中で、南東スラウェシ州にあるニッケル鉱山で働く中国人労働者の入国を認めた判断にも大きな反発があった。

 6月末に156人の中国人労働者第1団がケンダリ市の空港に到着したのをはじめ、計500人に上る中国人労働者が中国系企業「VDNI」と香港・シンガポール系企業「OSS」で働くことになっている。いずれも中国の巨大経済圏構想「一帯一路」において重要な役割を担っている企業だといわれている。なぜこの時期に、中国人がわざわざインドネシアにまで来て仕事をしなければならないのか、新型コロナ感染拡大を抑え込むことよりも経済優先の政府の姿勢と中国との関係に批判の声が上がっている。

 コロナ禍において経済が落ち込み、弱い立場の人がより搾取される構造が強まる危険性がある中で、人権意識の低い中国企業への警戒心を高め、改善を要求することは重要である。一方で、経済の立て直しを図るうえで、中国からの投資や支援は不可欠であると考えるインドネシア政府は、国民レベルの反中感情の高まりをどのように抑え、かじ取りをしていくのだろうか。(笹川平和財団 堀場明子)

 「ASEAN経済通信」 https://www.asean-economy.com/

Let's block ads! (Why?)



"インドネシア" - Google ニュース
August 05, 2020 at 07:06AM
https://ift.tt/39YmYB3

【ジャカルタレター】漁船で虐待死続出、インドネシアで高まる反中感情 - SankeiBiz
"インドネシア" - Google ニュース
https://ift.tt/2sdqTZk
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

No comments:

Post a Comment