Monday, November 29, 2021

ペットボトル水道水の販売終了 仙台市、海洋プラごみ問題を考慮 - 河北新報オンライン

 仙台市水道局は30日、ペットボトル入り水道水「ごくり◇きらり せんだい」(500ミリリットル入り)の販売事業を終了する。水道水のおいしさをPRする目的で始まったが、プラスチックごみによる海洋汚染が問題化し、販売継続は困難と判断した。ペットボトル入り水道水の提供終了は全国の自治体で相次いでいる。

海洋汚染問題などを考慮し、販売事業を終了する「ごくり◇きらり せんだい」

 市水道局によると、「ごくり◇きらり」は藤崎本館地下2階マイキッチン(青葉区)、観光施設「宮城県 松島離宮」の土産店「茶屋勘右衛門」(松島町)で扱っている。在庫がなくなり次第、販売を終える。

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)で消費者の環境意識が高まり、海洋汚染の原因とされるペットボトルの販売はできないと判断し、昨年2月に製造を中止した。紙パックや瓶、缶など再利用できる代替品も検討したが、いずれもコスト面の理由で断念した。

 「ごくり◇きらり」は2014年に製造を開始し、水道記念館(青葉区)の見学会や水道局のイベントなどで配った。当初は七夕飾りなどの図柄だったが、15年に仙台藩祖伊達政宗の騎馬像に変更。同年に市内であった第3回国連防災世界会議で2万本を配布し、各国代表らの好評を得た。

 市民からも「売ってほしい」と要望があり、15年10月に1本110~120円で発売。水道局庁舎や市内外の百貨店などで取り扱い、これまで約2万7000本を販売し、約220万円を売り上げた。ただ、製造の委託先が遠方でコストがかかり、事業自体は約2700万円の赤字となった。

おいしさのPR、今後は動画で

 今後の水道水のPRは動画配信に切り替える。第1弾として、子どもたちが水道水とミネラルウオーターを飲み比べ、おいしさに差がないとアピールする3分動画を投稿サイト「ユーチューブ」で公開している。

 全国でも熊本市のペットボトル入り地下水「熊本水物語」が今年3月に、東京都の水道水「東京水」が10月に製造を終了している。いずれも海洋プラごみ問題などを考慮したという。

 仙台市水道局営業課の岩淵明広課長は「ペットボトル事業はPRとして一定の役割を果たした。今後は動画で仙台のおいしい水道水を伝えたい」と説明する。

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