災害時のためのペットへのマイクロチップ（金井たかしの「江戸川区情報」）
2022年5月25日に東京都の防災会議地震部会は首都直下地震での新たな被害想定を公表しました。これについては、2022年６月５日付の記事「首都直下地震 江戸川区の被害可能性」で説明をしています。
地震による災害の危険性が高いことに加えて、江戸川区では台風などによる洪水被害が発生する危険性が高いことが指摘されています。これらの関係で、2022年６月７日付の記事「東京都での災害時のペット同行避難」と６月８日付「江戸川区のペット同行避難対策」を書いています。
災害時において避難をする際に江戸川区ではペット同行避難ができるのですが、災害時にすべてのペットと同行避難することは難しいもので、飼主とペットが離ればなれになってしまう可能性があることは否定できません。そこで、2022年（令和4年）6月から犬・猫へのマイクロチップ装着に関する制度が始まりましたので、災害とペットのマイクロチップ装着について考えてみることにします。
最初に、この６月から始まったマイクロチップ制度について、見てみることにします。
東京都の公式サイト内の「東京都福祉保健局」「犬、猫へのマイクロチップ装着に関する制度について（令和4年6月から施行）」のページで、新しい制度の説明がなされています。
【（努力義務）犬、猫にマイクロチップを装着しましょう】「ペットショップやブリーダーなどの犬や猫を販売する事業者には、令和4年6月以降に取得した犬、猫へのマイクロチップの装着が義務付けられました。犬、猫の飼い主の皆様には、所有する犬、猫にマイクロチップを装着するよう努めることが規定されました。」
【（義務）マイクロチップに飼い主の情報を登録してください】「マイクロチップが装着されている犬や猫を飼い始めた場合や、飼い犬や飼い猫にマイクロチップを装着した場合は、30日以内に飼い主情報を登録しなければなりません。令和4年6月以降にペットショップ等から購入した犬、猫には、必ずマイクロチップが装着されています（※）。所有者の情報をお店からご自身の情報に変更する「変更登録」が必要です。」
また、江戸川区公式サイト「動物愛護管理法が改正施行されました」においても、情報が提供されています。
以上のようなマイクロチップ装着制度が開始されたわけですが、1995年の阪神・淡路大震災のあと、多くの犬や猫が迷子になったことをきっかけに導入を巡る議論が始められ、2019年6月に動物愛護管理法の一部が改正されることでマイクロチップ装着制度が導入されたものです。ですから、このマイクロチップ装着制度の主な目的は、ペットが迷子になった際や災害で離ればなれになってしまった際に飼主を見つけやすくすることで、二次的に、ペットの安易な遺棄の防止につながるものとされています。NHK政治マガジン「犬猫マイクロチップ装着義務化 どうしたらいいの？」のサイトは参考になりますので、ペットの飼主の皆さんは見ておくとよいと思います。
マイクロチップ装着の装着については、動物病院で行うことができ、費用は数千円ほどのようです。マイクロチップ装着後は環境省のデータベースに情報の登録が必要になります。2022年5月13日付「読売新聞」によるとマイクロチップ装着に対して補助を行っている自治体もあるということです（インターネットで検索をすると横浜市や鎌倉市では補助制度があります）。江戸川区においては、首都直下地震また台風などによる水害という災害が高い確率で想定されるものですから、ペットの保護という視点から、飼主がマイクロチップ装着をする際の補助制度の構築も検討していってもらいたいものです。（筆者金井たかしのプロフィール）
自治体スクールコンプライアンス研究所 (東京都江戸川区)
代表 弁護士 金井高志（金井たかし）
（江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学［江東区］法学部･大学院教授）
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