Saturday, June 11, 2022

災害からペットを守りたい 松山の愛護団体、資格つくって普及に注力 - 朝日新聞デジタル

 「えひめイヌ・ネコの会」は28年前に松山市で発足した動物愛護団体。代表を務める高岸ちはりさん(70)の活動歴も、会の足跡と重なる。特に思い入れが深いのは、災害時にペットを守る「ペット防災」の取り組みだという。

 ――活動を始めたきっかけは

 1991年に起きた雲仙普賢岳の噴火でした。当時、メディアは噴火のニュース一色で関心が向くようになりました。

 ある日、テレビで被災ペットの世話をしているボランティアが紹介されているのを見て、動物を助けるボランティアがあるんだ、と驚きました。自分も何かしなければと、雑誌の被災ペットの写真を切り貼りした里親募集のポスターを知人の店先に貼ってもらうなどしました。

 結局、里親は見つかりませんでしたが、それまで気づかなかった身の回りの犬や猫が目に入るようになり、個人で保護した犬や猫の里親を探すようになりました。じきに1人では限界があると感じ、会を立ち上げようと思いました。

 ――団体立ち上げの経緯は

 まず地元のタウン紙で仲間を募りました。さらに新聞の投書欄で見かけた動物愛護の関係者に片っ端から連絡をとり、東京の団体代表を招いて話を聞くなどしました。その際に指摘されたのが、愛媛県が条例で定めていた「不用犬買上制度」でした。狂犬病予防で行政が野良犬を買って殺処分するため、かつては全国にありましたが、飼い犬を盗んで売りに来るケースも多く、当時残っていたのは愛媛だけ。「廃止できれば活動に弾みがつく」とアドバイスされました。

 94年4月の会発足と同時に制度廃止の署名活動を始め、その年のうちに約1万7千人分の署名を集めて県に提出。翌95年度から制度廃止を実現しました。たまたま知事選と松山市長選を間近に控えた時期で、候補予定者者らに訴えを届けやすかったことも幸いしました。

 ――その後はどんな活動を

 発足から10年は里親探しに力を入れていましたが、保護施設がない会の事務所などにペットを捨てる人は後を絶たず、啓発の必要性を強く感じました。セミナーやイベント開催などが増え、「ペット防災」を広く訴えるようにもなりました。

 ――ペット防災とは何ですか

 95年の阪神淡路大震災では約4300頭の犬と約5千匹の猫が被災し、負傷したり飼い主とはぐれたりしたと言われています。2005年にペット防災のポイントをまとめた冊子を作成しました。この年から飼い犬を実際に避難所まで連れてきてもらい、避難ルートを確認してもらうペット同行避難の訓練を始めました。

 また、松山市の総合防災訓練でペットの避難所を運営し、避難してきたペットのワクチン接種や不妊去勢手術の有無などを受付で聞き取ったり、大勢の避難者がいる中でペットがケージでおとなしくしていることの大変さを体感してもらったりしてきました。

 「何か資格があれば」とも言われ、16年から「ペット防災管理士」の講座も始めました。会が独自に認定している資格で、ペット防災の知識の普及や啓発ができる人として講座受講者に修了証を渡しています。受講後、自分の住む街でペット同行避難の訓練をしたり、自治体にペット避難所の確保などを求める陳情を行ったりする人も出てきました。新型コロナウイルスの影響で20、21年と見送りましたが、今年は開講したいと考えています。まずは県内でペット防災管理士を増やしたいと考えています。

 ――最近気になることは

 県内の至る所で起きているのが多頭飼育崩壊。飼い主は社会から孤立した障害者などが多く、孤立しているから周りが崩壊に気づかない。早い段階なら猫2匹で済んでいたところが連絡を受けた時には90匹に増えていた、というケースもありました。行政や福祉の担当者との普段からの連携が必要ですし、「動物の問題は人間の問題だ」と社会に強く訴えたいです。(長田豊)

     ◇

 たかぎし・ちはり 松山市出身。「えひめイヌ・ネコの会」は1994年に任意団体として発足後、2002年にNPO法人、08年には四国初の認定NPO法人になった。「ペット防災管理士」とプリントされたビブスは、事務所内だけでなく買い物など普段から身につけているという。

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