シリコンバレーは昔から、従業員が犬を連れて出勤することを許可している企業が多いことで知られている。これは、西海岸ののんびりしたオフィスの雰囲気の一部であり、高度な技術を持つ人材を獲得するために提供される多くの職場の「特典」のひとつと考えられている。ペット可のオフィスはその組織の企業文化がカジュアルで受け入れやすく、従業員重視であることを意味する。
また、ペットの同伴が可能であることは、大手ハイテク企業やスタートアップで一般的な深夜残業や週末出勤への対抗策にもなる。
パンデミック後、人々がオフィスに戻るとき、ペットを連れてくることができるかどうかが注目されている。パンデミックでは、多くの人が新たに犬を飼い始めた。また、すでに犬を飼っている人は自宅での仕事中、犬と一緒にいる時間が長くなり、より親密になることが多かった。特に、孤立し、人との交流が制限されていた時期にはペットは重要な交友関係と心の支えになった。
従業員はオフィスへの犬の同伴が許可されていれば、より良い気分で会社に戻ってくることができるだろう。また、犬を職場に入れた企業では、同僚との信頼関係や協調性が高まり、従業員のストレスレベルが低下したという調査結果もあり、ビジネスの観点からも理にかなっていると言える。
グーグルでは企業行動規範にも記載されているほど、犬は重要な存在である。「グーグルの犬の友人への愛情は私たちの企業文化の不可欠な一面です」。オフィスには指定されたドッグスペースがある。また、敷地内の有名な無料グルメカフェにも犬用のおやつが用意されている。
サンフランシスコに本社を置くソフトウエア会社SS&Cアドベントは従業員がペットを飼うことを奨励するため、予防接種、マイクロチップ装着、健康診断などの定期的な必要経費に充てることができる介護手当を支給している。また、従業員はペットの健康保険にも加入することができ、保険料を支払うことが容易になる。
パロアルトにあるVMWare社はペットが死んだ場合、さらに2日間の有給休暇を付与している。
サンフランシスコに本社を置くゲーム会社Zyngaは、屋上にドッグパークを設置している。セールスフォースは、地元の保護施設と協力して、ペットの里親募集日を開催している。
サンフランシスコに本社を置くmParticleの社員は、福利厚生の一環としてペット保険に加入している。また、休暇も無制限なので、もう獣医の予約に苦労することもない。また、新しいペットを迎える際には、「ペット休暇」を取得することができる。
もちろん、犬を連れて出勤すると、犬が嫌いな人やアレルギーのある人に迷惑がかかるというデメリットもある。また、犬の鳴き声が集中力をそいでしまうこともある。このような問題は、事前に慎重に検討し、適切なポリシーを設定する必要がある。
［日経産業新聞2023年3月28日付］
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March 31, 2023
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