Tuesday, April 4, 2023

「ペット忌引き」幼虫やカメも対象 神戸の設備商社が導入したワケ - ITmedia ビジネスオンライン

 昆虫の幼虫も対象とします――。神戸市の工場設備商社「吉岡興業」は3月から、ペットの死に際して最大5日間の休暇を取得できる「ペット忌引き制度」を導入した。対象のペットを細かく限定せず、昆虫の幼虫やカメ、鳥なども対象とする。なぜ導入に至ったのか。

吉岡興業は「ペット忌引き制度」を3月から導入した。昆虫の幼虫やカメ、鳥なども対象になる。写真は同社従業員のペットのカメ(同社提供、以下同)

 「ペットとの死別は、生き物の種類にかかわらず飼い主にとってはつらいもの。最期まで見届けてから仕事に戻る方が従業員にとって精神的にも良いと考えました」

 こう話すのは同社の吉岡洋明社長だ。

 同社のペット忌引き制度は1種目につき年に1度適応。ペットが死んだ場合、休日祝日を含む連続5日間の休暇を取得できる。ほ乳類以外のペットは、最大3日間としている。死の前日と前々日も対象とすることで、最期を見届けられるようにしている。

 従業員はあらかじめ、同居しているペットの写真と名前、年齢を申請書に記載し、会社に提出しておくことで制度を利用できる。

従業員は同居しているペットの写真と名前、年齢を申請書に記載し会社に提出する

「生き物が死んだくらいで」ではなく

 導入のきっかけは、ペットの死で落ち込む従業員の姿を吉岡社長が実際に目にしたことだったという。

 社内では幼い子どもを持つ従業員がおり、休憩時間になると「昨夜、公園へカブトムシを見に行った」「セミの羽化を子どもと観察するために夜通し森を歩いた」などといった会話がよく交わされるという。

 その中に、自宅でカブトムシの幼虫を飼い始めたがうまく育てられなかった従業員がいたといい、「そのときの落ち込み具合は相当なものだった」と吉岡社長は振り返る。

従業員が飼っているセキセイインコとマルチーズ

 社長自身もイヌとセキセイインコを飼っているといい、ペットとの死別のつらさは想像に難くないという。

 「ペットのイヌや虫が死んだくらいで、というのではなく、しっかり生き物に気持ちを向けて切り替えてから仕事に戻ってもらう方が従業員にとっても良く、今の時代の価値観にも合致していると考えました」(吉岡社長)

従業員が飼っているミニチュアダックスフンドとインコ

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