ペット同行避難の図上訓練で真剣な表情で意見を述べ合う市職員ら＝柏市で
能登半島地震でペットを連れた避難が課題に浮上する中、環境省が主催する災害時の「ペット同行避難訓練」が、千葉県柏市で実施された。県と市の職員をはじめ、獣医師、県愛玩動物協会のメンバーら約30人が参加。次々と発生する問題に、グループで話し合って対応を決める災害図上訓練で自助力を磨いた。（林容史）
同省は2011年の東日本大震災を機に、ペットとの同行避難についてガイドラインをまとめた。ペットを同行する避難者の受け入れ態勢を確認し、課題を洗い出すため、ガイドラインに基づく図上訓練を行っている。22年度の栃木県を皮切りに、千葉県では今回初めて実施した。
2日の訓練では、災害発生直後から1週間までを想定。参加者は災害対策本部や避難所、動物救護本部など六つのグループに分かれ、かつての災害で実際にあった事例が書かれたカードを受け取った。「女性が認知症の夫と小型犬を連れて避難所にやって来た」「保護者の消息が分からない2人の子どもと中型犬がいる。どうすれば？」「避難所のペットに、ほかの避難者から苦情が出ている」「透析が必要な女性が猫を抱いて避難してきた」。分刻みで持ち込まれる相談に、参加者たちは困惑し、意見をぶつけ合い、有識者にアドバイスを仰いで対策を練った。
柏市では昨年9月、避難所でのルールや飼い主の責務などを定めた「ペット避難受け入れに関するガイドライン」を独自に策定。市内109カ所の指定避難所のうち42カ所でペットの屋内避難が可能だ。
市防災安全課の堀毛絵美子さんは「実際の避難所では想像もつかないことが起こる。ガイドライン通りにいかない時に、どう対応すればいいか考えるきっかけになった。市民も、あらかじめガイドラインに目を通しておけば災害時に動きやすくなるのでは」と呼びかけた。
市動物愛護ふれあいセンターの芳川恵一所長は「避難所でペットと一緒にいられる場所づくりを検討している。今度は町内会単位で訓練してみたい」と意欲を見せた。
同省動物愛護管理室の後藤瑞枝室長補佐は「能登地震でも、ペットを連れているから2次避難をためらったり、鳴き声を気にして車中泊に切り替えたりするケースが見られる」と指摘。被災地では獣医師会によるペットの一時預かりも始まっているとし、「被災者が2次被害に遭わないようにするのが第一。避難所によって対応がまちまちになってしまわないよう、平時の訓練が大切になる」と訴えた。
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能登半島地震 ペットと避難 どう対応？ 柏で千葉県内初、環境省の図上訓練で自助力磨く：東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞
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