富士市で20日開かれた「サンフロント21懇話会」富士山地区分科会では、国際セラピードッグ協会創設者の大木トオル氏と県健康福祉部の阿部冬樹技監の講演に続き、「動物とともに幸せに暮らせるまちづくり」をテーマにパネル討論を行い、さまざまな視点から課題の改善策などを話し合った。
パネリストは大木、阿部両氏と、会社を設立し、犬の殺処分ゼロを目指した活動に取り組むサッカーJ1リーグFC町田ゼルビアの鈴木準弥選手=沼津市出身=、企業経営研究所の中山勝常務理事。飼い主の責任とペットを飼い続けることへの課題が議論の中心となり、鈴木選手は「殺処分をなくして1匹でも多く助けたい。少しでも行動することに意味があると思った」と活動を始めたきっかけを振り返り、「周りに支えてくれる人や地域などがあれば、年齢を気にせず、飼い続けられる」と話した。
中山氏は「責任を負えなくなるため、高齢になると飼わずにペットロスになる人が多い。高齢になってもペットと暮らせる仕組みづくりが必要」とした。ペット同伴で見舞いができる老人ホームの取り組みも紹介した。
大木氏は動物愛護の法律や条例の整備推進を訴え、阿部氏はペットが行方不明になった時の行政への連絡の必要性を強調した。
(東部総局・天羽桜子)
講演要旨
大木氏 国際セラピードッグ協創設 動物愛護へ法律整備が必要
米国では70年前から、セラピードッグの存在がある。世界に比べ日本は50年ほど、動物愛護の精神で後れを取っている。この国のペット産業は年間1兆5千億円の売り上げがあるにもかかわらず、人の勝手で個人や民間が犬猫を捨て、行政が予算をかけて殺処分をする。以前、年間約65万頭が動物愛護センターで殺処分されていた。渡米先の愛護家から「日本には犬猫のアウシュビッツがある」と言われたことが印象に残っている。
初のセラピードッグとなった「チロリ」は、生ごみの中に捨てられ、足に障害があった犬。チロリの存在で、国の動物愛護法が整ってきたといっても過言ではない。トレーニングを積み教育を受ければ、どんな環境の犬でも、必ず立派になる。しかし、人の意識を変えることは困難。本当の意味で日本が動物愛護国となるためには、法律を整える必要がある。
阿部氏 県健康福祉部技監 新センター愛される施設に
県は動物愛護管理推進計画を策定し、人と動物の共生社会を目指している。最終的な目標は殺処分ゼロ。犬猫の殺処分は2006年に1万1506頭だったのが、12年には半数以下になり、22年には102頭と約99%も減少した。富士市に来年できる県動物愛護センターは収納、譲渡、情報発信機能を強化。新たにボランティア支援と育成、災害時の動物対策の役割を兼ね備える。殺処分施設を設けず、人と犬のマッチングルームやドッグランを完備する予定。県民から愛される施設にしていきたい。
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February 21, 2024 at 04:15AM
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