神戸出張で、心に残る立ち飲み割烹(かっぽう)店に出会った。
JR神戸駅(神戸市)東口から徒歩3分ほどにある「立呑(のみ) ZUTTO」がそれだ。店内は早い時間から混雑しており、繁盛の匂いにつられ入店した。カワード・チャレンジ(同)が運営している。同社は三ノ宮駅(同)の近くで「くずし割烹こまじろ」など、ZUTTO以外に和食業態を4店、イタリアンを1店運営している。
ZUTTOは、まず価格帯が受けている。生ビールやハイボールは1杯税別280円、サワー類は380円。珍しい日本酒もそろっており、こちらは半合で380~490円となっている。つまみでは刺し身の盛り合わせの「5種盛り」(各2切れ)が680円で、さらにお一人様専用の「1名様盛」(各1切れ)だと340円と格安だ。
ネタは日替わりだが、取材日には本マグロが入っており、満足度は高い。そのほかに注文ごとに揚げる天ぷらはエビが150円、旬のタラの白子が150円。鯛(たい)を大葉、湯葉、梅で巻いて揚げた「鯛の東寺揚げ」も150円だった。
その他、「神戸牛 ダシおでん」は、特選A5牛すじが380円、大根100円とコンビニエンスストア価格だ。市井の居酒屋レベルを超えており、一口食べて口元が緩みっぱなしだ。
オープンは2018年11月。46平方メートルの店内には、最大で30人ほどが入り、だいたい2回転半から3回転分の客が来店する。価格を抑えているので客単価は2000円程度だが、繁盛している。
同社の新井翔碩社長は「以前から新規採用のために調理師学校で会社説明会をしていたが、とにかく和食業態に人気が無いことに気付いた。『和食=キツい、厳しい』というイメージがついているからだと感じた」と話す。「それならば、若い人が働きやすい和食業態を自分が作ろう」と考え、新卒でも働きやすい立ち飲み業態を開発したという。
働きやすい環境を整えるために心を砕いたのはスタッフの確保だった。「人数が少ないと、教える側も教わる側も。余裕がなくなる」と考え、十分な人数が確保できても求人は続けている。人件費はかかるが、求人広告にかける費用を考えると、収支は合うようだ。
その効果か、実はこの店、立ち飲み店とは思えないほど、スタッフの接客が生き生きしている。メニューの内容を聞くと説明は適切で、わかりやすい。おかわりなどの声がけのタイミングも絶妙で驚かされた。
新井社長にとって低価格の立ち飲みは同店が初ということで、開業直後は自身が店に入り、料理の量や価格を日々変更しながら注文数などを調査したという。その結果を基に原価率を調整しつつ、メニュー決めをした。そのなかで筆者が注目したのが「冷やしピーマン」(150円)だ。
ピーマン2切れでこの価格なのだが、パリッとした食感と、適度な塩味が後を引くひと品。原価率にうるさい筆者も追加注文したほどた。料理、サービスに一切の妥協しない新井社長に感服した。
(フードジャーナリスト 鈴木桂水)
鈴木桂水(すずき・けいすい)フードジャーナリスト・食材プロデューサー。美味しいお店から繁盛店まで、飲食業界を幅広く取材。“美味しい料理のその前”が知りたくて、一次生産者へ興味が尽きず産地巡りの日々。取材で出会った産品の販路アドバイスも行う。
[日経MJ 2020年1月24日付]
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