行方不明になった犬や猫を探すペット探偵の第一人者、「ペットレスキュー」代表・藤原博史さんの新刊「210日ぶりに帰ってきた奇跡のネコ ペット探偵の奮闘記」(新潮社)が発売された。犬猫の捜索事例7つを通じて、プロの技を紹介する本書について、話を聞いた。
【写真特集】ペット探偵に発見され、無事家に帰ってきた迷子猫たち
開いたドアのすき間から自宅の工事、転居、はては誘拐や空き巣事件まで。開業から20年以上、約3000件におよぶペットの捜索経験のなかから厳選されたエピソードでは、さまざまなきっかけでペットが行方不明になっている。当時を振り返りながら、何を考え、どのような課程で発見に至ったかを藤原さんが解説するのだが、そのひとつひとつが、まさに生きた捜索マニュアルだ。
まず徹底したプロファイル作り、そして捜索
捜索はまず、飼い主から話を聞くことから始まる。いなくなった状況はもちろん、ペットの性格や年齢、性別、バックグラウンドや飼い主との関係性など、さまざまな情報からプロファイルを作成し、それをもとに、家の内外や周辺でペットが潜んでいそうな場所を探していく。
藤原さんは「地味な作業の繰り返し」と言うが、目を見張るのは、捜索の課程で発揮される野生的な勘と、それを裏打ちする動物に関する知見。ペットの目線と気持ちを体現しながら捜索にあたる様子は、飼い主として参考になると同時に、物語として読んでいてもおもしろい。
「獣医さんに相談しても的確なアドバイスがもらえなかったと連絡をくださる方も多いですが、動物にくわしいことと、迷子のペットについてくわしいことは別物ですから、獣医さんを責めるのは筋違いです。どのケースも1匹1匹違うので、話を聞いて細かいプロファイルを作ります。ペット探偵としてはそこが難しい部分かもしれませんね」
ここ数年は全国から依頼が殺到しており、実際に捜索を引き受けられるのは1割程度。大半は電話でアドバイスをするにとどまるが、それでも飼い主にとても感謝されるという。
それならば、もっと多くの人を助けられるようにと、昨年、いぬねこ写真アプリ「ドコノコ」と協力し「迷子捜しマニュアル」を作成した。それを読んだ飼い主が無事ペットを発見するケースが増えてきたことも、本書の執筆を後押しする要因になったと語る。
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