Tuesday, April 7, 2020

ぷりっぷりの身がたっぷりの鍋に! 幻の高級魚マハタを狙え 外房・大原港沖 - asahi.com

西へ東へ、海へ川へと旅して釣りする太公望たちの奮闘記です。魚との知恵比べ、釣った魚で一杯……。目的は人それぞれながら、闘いの後の心地よい疲労と旅情は格別。今回は、朝日新聞の西田健作記者が、「幻の高級魚」マハタを狙って千葉県いすみ市の大原港沖へ船で。鍋にしても刺し身にしてもうまい魚を期待しての釣果は――。

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1匹釣れれば御の字、でも……

天然もののマハタといえば、漁獲が少なく、スーパーなどには並ばずに、おすし屋さんか高級料理店に直行してしまう魚です。ぷりっぷりの身は鍋にすると極めて美味で、刺し身も絶品。そのマハタがどうやら今年は好釣とのこと。1匹釣れるかどうかという魚ですが、チャンスがあるなら行くしかない!

3月に出かけたのは、千葉県いすみ市の大原港にある加幸丸さん。マハタ専門の船宿です。集合時間は午前4時30分。釣り人を乗せた船は真っ暗な海を沖へと向かいます。

ぷりっぷりの身がたっぷりの鍋に! 幻の高級魚マハタを狙え 外房・大原港沖

真っ暗な海を行く加幸丸

マハタの釣り方は、ヒラメと同じで、生きたイワシを餌にします。上あごに親針、胴の部分に孫針を刺して海底近くを泳がせるのです。岩礁帯に隠れているマハタは、イワシを見つけるとそこから出てきてアタマをガブリ。イワシの針が、マハタにも刺さるという寸法です。

この日の水深は30メートル前後。仕掛けの一番下に80号(300グラム)のおもりをつけて、イワシを岩礁帯に送り込みます。

ぷりっぷりの身がたっぷりの鍋に! 幻の高級魚マハタを狙え 外房・大原港沖

釣り場に向かう途中で次第に夜が明けてきた

マハタ釣りで悩ましいのは、海底からどれぐらいの高さにイワシを泳がせるかです。底べったりのヒラメ狙いなら1メートルぐらいでいいのですが、マハタの場合は2~4メートル。低すぎると岩礁帯に隠れているマハタの視界に入りにくく、高すぎるとマハタがガブリと食いつきにくいからです。悠々と泳ぐ大きなマハタを狙うなら高い位置、とも言われています。

良型狙いで高めの棚を攻める

さて、どうするか。マハタは初挑戦なのですが、このコラム「太公望のわくわく」に良型の写真を載せたいので、高めの4メートルで待つことにしました。

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さっそくマハタを釣り上げる長野剛さん

午前5時30分ごろに釣り開始。ほどなくして、釣友の長野剛さんの竿(さお)が曲がりました。次も長野さん、なんとその次も。マハタ釣りに何度も通っている長野さんとは経験値の違いがあるとはいえ、他人のマハタばかりをタモ(網)入れする私の心中は穏やかではありません。聞けば、底から2~3メートルぐらいを狙っているとのこと。

ぷりっぷりの身がたっぷりの鍋に! 幻の高級魚マハタを狙え 外房・大原港沖

次々とマハタが釣り上げられる

でも、ここでくじけて棚を低くすると、良型が釣れないかも。一方で、ゼロも困る。私は妥協して3.5メートルと50センチほど狙う棚を低くしました。加幸丸さんは釣り人に良型を釣ってもらおうと起伏の激しい岩礁帯を狙うので、海の深さはいつも同じではありません。

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何とか1匹釣りたいと、狙う棚を4メートルから3.5メートルに変えた筆者

突然7~8メートル深くなったり、逆に浅くなったり。時々おもりを底まで落として深さを確認しながら、3.5メートルの位置をキープし続けました。

待つこと2時間、すると……

マハタよ、どうか私のイワシを食ってくれ。そう念じて待つこと2時間。ようやく、竿先がガクガクとふるえてマハタが針にかかりました!

ここで気をつけないといけないのは、マハタが岩礁のすみかに帰ってしまうこと。細いハリスや道糸が岩にこすれたらひとたまりもありません。竿先を高くあげてリールを巻くと、竿が弓なりにしなります。なかなかの抵抗ぶり。ほどなくして上がってきたのは、43センチ、1キロ超えの良型。まあまあのサイズでした。明日の鍋料理も確定し、ほっと一息。

ぷりっぷりの身がたっぷりの鍋に! 幻の高級魚マハタを狙え 外房・大原港沖

ようやく筆者もマハタを釣り上げた


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口の部分にガッチリと針がかり

1匹釣れると次々と釣れる、というのは釣り人にはよくあること。潮の流れも良くなってきたのでしょう。ほどなくして2匹目。これは37センチぐらい。さらに終盤には竿がひときわ大きく曲がって、45センチ超のマハタが釣れました。重さは1.6キロ。納得のサイズです。3.5メートルを維持して良かった!

ぷりっぷりの身がたっぷりの鍋に! 幻の高級魚マハタを狙え 外房・大原港沖

長野さんの竿が大きく曲がる。大物のマハタか?


ぷりっぷりの身がたっぷりの鍋に! 幻の高級魚マハタを狙え 外房・大原港沖

残念ながらウツボだった。堤防釣りでは定番だが、こんな沖にいるなんて

加幸丸さんには、下船後に特製カレーライスの昼食サービスがあります。大原港でお腹を満たしながら、しばし、船長さんと釣り談義。マハタも5キロ超になると、太いハリスをぶっちぎるほどのパワーがあるとのことでした。年に何度も通って、めったに釣れない巨大マハタを狙う常連さんもいるそうです。

ぷりっぷりの身がたっぷりの鍋に! 幻の高級魚マハタを狙え 外房・大原港沖

良型のマハタでクーラーはにぎやかに

鍋も薄造りも堪能、うまい!

翌日の我が家はマハタ鍋に。アタマやカマを鍋に入れてだしを取ると、皮の部分から染み出したうまみで鍋の水面は輝くほどに。皮はゼラチン質たっぷりで、切り身は身崩れが少なく、口に入れるまでぷりっぷりのまま。ポン酢を垂らすと、上品な白身でありながらうまみもしっかりあって、いくらでも食べられる感じでした。

ぷりっぷりの身がたっぷりの鍋に! 幻の高級魚マハタを狙え 外房・大原港沖

マハタの鍋はコラーゲンたっぷり

薄造りにしたお刺し身は適度な弾力と甘みがあってこれまた美味でした。

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刺し身には上品な甘みと食感があってうまい

いつの日か5キロ超のマハタが釣れたら、知人友人を呼んでの大宴会ができそうです。マハタ釣りはちょっとマニアックですが、想像以上の魅力とロマンが詰まっていました。

加幸丸
https://ameblo.jp/kakoumaru/page-6.html

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PROFILE

  • 釣り大好きライター陣

    安田明彦、猪俣博史、西田健作、石田知之、木村俊一

  • 西田健作

    朝日新聞記者
    1971年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。15年ほど前に千葉県浦安市に引っ越し、ディズニーランドのすぐ近くで魚が釣れることを知り、釣りにはまる。朝日新聞社では文化くらし報道部で宗教・歴史・美術担当。2020年4月から7年ぶりに管理職(デスク)から現場の記者に戻ってはりきる一方で、相変わらず週末の釣りにのめり込んでいる。

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April 07, 2020 at 09:23AM
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