新型コロナウイルス禍で、犬や猫などペットをめぐっても、さまざまな動きが出てきた。

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「もし自分が感染したらペットの世話をどうしよう」。ペット保険大手アニコム損保を傘下に持つアニコムホールディングスは、そんな不安を解消できるようにとプロジェクト「#StayAnicom」を開始した。飼い主が感染し入院などになった場合、その間ペットを保有施設で無償で預かるという。感染者以外で濃厚接触してない人がペットを施設まで運ぶなどの条件がある。施設では獣医師らがケアする。

今月10日の発表以来、賛同、もしもの時の相談など100件以上の反応があった。現在はうち首都圏の十数件の感染者やその関係者と打ち合わせているという。同社担当者は、飼い主が深刻な不安を抱えていることを実感しているとし「飼育放棄などの問題にもつながりかねず、社会の公衆衛生上も誰かがやらなければいけないことです。1匹でも多く助けたいです」と話す。

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巣ごもり生活が長引く中で、ペットを求める動きも、内外で広がっている。米国やオーストラリアなど世界各地の動物保護施設では、犬や猫を引き取る里親希望者が急増しており、ペット関連株も上昇した。一方で、飼育放棄も懸念されている。

国内でも、犬のレンタルサービスなどの需要が増えているという。神奈川県動物愛護センターでは、別の困惑もある。犬や猫の譲渡条件に事前講習会の受講などを設定しているが、3月から月2回開催の講習会を当面中止している。このままでは条件を満たす希望者が減っていく可能性もあり、対策を検討しているという。

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香港、米国、ベルギーなどではトラ、猫、犬などへの感染例も報告されているが、東京都獣医師会は「ペットがヒトにうつす可能性は限りなく低いだろうと、世界中の多くの専門家も含めて考えています」とし「飼い主が感染しないことがペットを守るためにも大事」と呼び掛けている。さらに「もし感染し世話ができなくなった場合は、ペットにシャンプーし家族など周りの人に預けてほしい」としている。