Friday, April 3, 2020

民族料理にファインダイニングまで…南アフリカはグルメが楽しみ! - 読売新聞

南アフリカを初めて旅したときに驚いたのは、食のおいしさと豊かさでした。オイスターやロブスターなどのシーフードは新鮮だし、野菜もオーガニックなものが多く、ビーフやチキン、珍しいところではゲームミート(いわゆるジビエ)など、お肉も絶品です。この国のグルメはとにかくバラエティー豊か。民族料理をコンセプトにしたレストランから洗練されたダイニングまで選択肢も多く、旅の間は何より食べることが楽しみでした。

多民族国家だから楽しめる! 個性あふれる郷土料理

南アフリカ料理の特徴をズバリ一言で言い表すのは、簡単ではありません。なぜなら、日本の3倍強もある国土には様々な郷土料理があるうえ、先住民族をはじめ、ヨーロッパやアジアなどからの移民が暮らす多民族国家なので、伝統料理もバラエティーに富んでいるからです。

そうした中で、南アフリカ全土で親しまれているのが、ケープマレー族の料理でしょう。その歴史は、ケープタウンにオランダ人が入植した17世紀にさかのぼります。当時、同じくオランダ領のインドネシアから料理人として連れてこられたイスラム系の人々が作った料理がルーツなのだそうです。

アフリカ式バーベキューの「ブラーイ」は、老若男女に人気の国民食

代表的な料理は、マッシュポテトと牛ひき肉をスパイスで味付けし、小麦粉の皮で包み揚げた「サモサ」や、地元で取れる新鮮な魚介類を使ったシーフードカレー、牛ひき肉と野菜、ドライフルーツなどを合わせてオーブンで焼いた南アフリカ版ミートローフ「ボボティ」など。どれもスパイスを多用しているのが特徴です。

タウンシップ(アパルトヘイト時代、黒人を強制的に住まわせた住宅街)に伝わる味も、南アフリカの郷土料理のひとつです。トウモロコシを乾燥した粉で作るモチモチした食感の「パップ」や、豆を野菜やバターと煮込んだ「ウムンクショー」など、素朴な味わいが愛されています。

アジアやアフリカ、ヨーロッパの食材を融合して生まれたケープマレー料理。スパイシーな料理にはビールが合うけれど、イスラム教徒が多いケープマレー族のレストランはアルコールを置かないのが一般的

そんなタウンシップ料理にインスパイアされたコースを提供しているのが、ケープタウンの「4Roomed eKasi Culture(フォー・ルーム・エカージ・カルチャー)」。女性シェフのアビゲイルさんが、パップにトリュフオイルやバターナッツを混ぜたり、チキンの煮込みをフェンネル風味で仕上げたりと、地域に伝わる料理をモダンに仕上げています。

ケープタウンのタウンシップにあるレストラン「4Roomed eKasi Culture」。内装や盛り付けに女性シェフのセンスが光る

地域密着型をコンセプトにし、野菜は地元で栽培しています。インテリアもコサ族の生活をほうふつとさせる、カラフルなテイスト。居心地のいいカフェのような雰囲気のなかで、下町の味ともいえるタウンシップ料理を楽しむことができました。

家庭料理をアレンジしてモダンに
ワインをデカンタではなくビーカーに入れるなど、食器使いも斬新

19世紀に労働力としてインド人が多く移住した南アフリカでは、インド系の料理もよく食べられています。バニーチャウは、食パン一斤を丸ごとくり抜き、そこにたっぷりとカレーを注ぎこんだ、豪快な見た目の一品。これは、かつて東部の都市ダーバンのプランテーションで労働力として使われていたインド人が発案したものです。農場に持参するお弁当として、食器代わり、ロティ(インドのパン)代わりに食パンを使ったことから生まれたのだそう。

バニーチャウの具は、マトン、チキン、ビーフなどバリエーションあり

見た目は“規格外のカレーパン”といった感じですが、スパイスを多用したカレーは本格的。付け合わせのピクルスも混ぜながら食べると、さらにおいしくなります。

一度は訪れたい都会のファインダイニング

南アフリカを旅行中、ぜひ予約して訪れてみたいのが、スモールラグジュアリーホテルのダイニングです。ホテルに泊まるチャンスはなくても、洗練された雰囲気をたっぷりと味わうことができます。また、ほとんどのレストランがウエブサイトから予約でき、旅行者にとっても使いやすい存在です。

行政の首都プレトリアでランチを楽しんだのは、「Restaurant Mosaic at The Orient(モザイクレストラン・アット・ジ・オリエント)」。都心から車で30分ほど走った森にひっそりと建つホテル、「The Orient(ジ・オリエント)」のなかにあります。

プレトリアの都心から車で30分ほどの森のなかにある「The Orient」

到着して、まずはウエルカムドリンクで喉を潤し、敷地内を散策。モロッカンスタイルの建物には彫刻美術館あり、絵画美術館あり、手入れの行き届いたガーデンあり……と、なかなか見ごたえがあります。アンティーク家具を置いた美術館には、オーナーが集めた南アフリカ人アーティストの作品が飾られていました。美術館というよりも、邸宅を訪ねているような気分です。

森のなかにある「Restaurant Mosaic at The Orient」。晴れた日は庭でワインを

散策を終えたらお待ちかねのランチ。女性シェフのシャンテルさんは、世界に名だたる賞をいくつも受賞している若き実力派です。周辺の自然環境からインスピレーションを得たという料理は、モダンで独創的、そして盛り付けがかわいらしい! ランチはワインをペアリングしながら3時間にも及びましたが、運ばれてくる料理はとても個性があり、ワクワクし通しでした。

シェフのシャンテルさんは「世界のベストシェフ100」で32位にランクインしたこともある、若き実力派
コース料理はワインとペアリングで楽しんで

ヨハネスブルクでディナーを楽しんだのは、「Clico Hotel(クリコ・ホテル)」のダイニング。中心部や、ホテルが集結するサントン地区からは車で5分ほどと、旅行者にはとても便利な場所にあります。わずか9室というブティックホテルらしく、雰囲気は落ち着いていて、照明を落とした店内では、長距離フライトで疲れた後もリラックスして楽しむことができました。

ヨハネスブルクの「Clico Hotel」のダイニング。泊まらなくても、ディナーでスモールラグジュアリーの雰囲気を味わいたい

ホテルのダイニングではないものの、貴重な体験ができるのが、ケープタウンの「Reverie Social Table(レベリー・ソシアル・テーブル)」です。席は、ダイニングの中央にある18人用の大きなテーブルのみ。すべてのゲストがこのテーブルを囲み、同じコース料理を楽しむスタイルです。

すべてのゲストがひとつのテーブルを囲み、同じコース料理を楽しむ「Reverie Social Table」

といっても、決して社交サロン的なものではなく、よりカジュアルな雰囲気。私も当初は、初対面の人との会話、しかも外国……と考えて少し緊張していたのですが、ワインを飲み、おいしい料理を食べているうちに、不思議と打ち解けていきました。こんな旅先の食事も、思い出に残ります。

ワイン片手に料理を学ぶクッキングクラス

料理を食べるだけでなく、作る過程も楽しめたのが、ケープタウンの「FOOD JAMS(フード・ジャムズ)」のクッキングクラスでした。旅行者向けの料理教室は決して珍しくありませんが、ここがユニークなのは、教室というよりもショーに参加しているような気分で楽しめること。BGMが流れるキッチンで、陽気に歌い踊るインストラクター(!)にアドバイスをもらい、南アフリカのワインを飲みながら、にぎやかに調理を楽しむことができます。

ケープタウンでは、ユニークなクッキングクラスの「FOOD JAM」を体験

テーブルにはレシピと食材がセッティングされ、参加者はそれぞれのペースで、料理を作ります。もちろん、分からないことがあればインストラクターがアドバイスしてくれるので、失敗することはまずありません。私はほろ酔いになりながらも、3品ほど仕上げました。

洗練されたダイニングに民族系のレストラン、料理教室と様々な楽しみがある南アフリカのグルメですが、この国を旅するたびに私が必ず足を運ぶのが、南アフリカ発祥のグリルチキンのチェーン店、「Nando’s(ナンドス)」です。

「ペリペリチキン」は、大航海時代にポルトガルの船がもたらした料理がルーツ

一見するとファストフード店なのですが、料理は本格的です。独自のレシピで24時間マリネし、こんがりと炭火で焼き上あげた定番メニューの「ペリペリチキン」は、パリっとした焼き加減といい、ジューシーなお肉といい、いつも大満足させてくれます。

ちなみに、お店のオリジナル調味料、ペリペリソースは南アフリカのスーパーマーケットでもよく見かけます。私はこのソースを買って帰国後も自己流ペリペリチキンにトライしていますが、なかなかあの味には近づけません。老若男女に愛されるソウルフードを食べに、またいつか、南アフリカを旅したいと思っています。

南アフリカ観光局
4Roomed eKasi Culture
Reverie Social Table
Clico Restaurant
FOOD JAMS

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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