Wednesday, June 10, 2020

老いたペットは誰が引き取るのか…不足する受け皿、求められる“共生”イノベーション - ビジネス+IT

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老いたペット、飼い主がいなくなったペットへのセーフティーネット構築が望まれる

(Photo/Getty Images)

※本記事は2020年1月20日開催「SPARK IGNITION #43 ~ペットとともに生きる~(主催:イグニション・ポイント)」の講演をもとに再構成したものです。


終生まで動物を保護する受け皿が日本には少ない

 ゲストパネリストとして参加したのは、さまざまな側面からペットと携わる3名。田村 壽規氏が代表を務めるPontelyは飼い主が簡単に愛犬や愛猫の遺伝子検査をできるサービスを展開している。亀井 達彦氏が常務執行役員を務めるアニコムホールディングス(HD)は国内最大手のペット保険企業を傘下に持つ。NHKの渡辺 悟氏は、保護された動物たちを紹介して新しい家族を見つける手助けをする番組『家族になろうよ』のプロデューサーでもあり、本人も大変な愛犬家である。

 ファシリテーターは外務副大臣である鈴木 けいすけ氏とともに、イグニション・ポイント 執行役員兼CSOの野上 隆徳氏、タレント 黒田 有彩氏が務める。

 ペットの文化は昔からありながらも、現代に至るまで解決できていない課題も多くある。そのうちの1つとして、Pontely 田村氏は飼い主が持つ動物への理解度について語る。

「ペットというのは人間の赤ちゃんと一緒で、病気にもなるしわがままも言います。場合に応じて適切な対処が必要だし、そういう知識をもった上で受け入れてほしいと思います。しかし、ペットショップなどで『かわいい』という理由だけで衝動的に買ってしまっている人が多いような印象です」(田村氏)

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Pontely
代表取締役CEO
田村 壽規氏

 実際に飼ってみて思っていた様子と違ったり、思うように育てることができずに飼育放棄をする飼い主もいる。さまざまな理由をもって施設に預け入れられるのが「保護動物」だ。各自治体は「殺処分0」を公約に掲げている一方で、受け入れ先が決まらずに殺処分をされてしまう動物も国外に比べると日本は多い。

 その理由について、アニコムHD 亀井氏はこう語る。

「たとえばヨーロッパなどではティアハイムというシェルターで終生まで動物を保護する施設などが非常に進んでいます。日本ではそういった施設が普及しておらず、たとえば高齢の人が老人ホームに入るために飼えなくなったといったやむを得ない事情があったとしても受け皿がないのが現状です」(亀井氏)

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アニコムホールディングス
常務執行役員
亀井 達彦氏

『0から飼育したい』という欲求からペットショップ一択に?

 NHK 渡辺氏がプロデューサーとして携わっていた『家族になろうよ』は、そういった保護動物の新しい家族を探すための番組だ。その企画の背景についてはこんな事情があった。

「実は、この番組はドイツで20年続いている番組を参考にしているんです。ドイツでは毎週土曜に1時間の枠で『保護動物の次の飼い主になりませんか』と紹介していて、それが人気番組として続いているんですよね。つまり社会的に関心が高い」(渡辺氏)

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日本放送協会(NHK)
2020東京オリンピック・パラリンピック実施本部 副部長
渡辺 悟氏

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外務副大臣
鈴木 けいすけ氏

 保護動物の受け入れが日本で広まらない理由のひとつとして、鈴木氏はこう考える。

「0から飼育したい、という欲求もあるのではないかなと。だから成犬として飼い始めるという意識がない。それはペットに限らず、新築の方が選ばれたり、養子制度が広がらなかったり、いろいろな部分で表れている気がします」(鈴木氏)

 決してペットショップで購入することが悪いことではない。しかし保護動物の受け入れの認知が広がっていないからこそ、ペットショップ一択という風潮が生まれてしまっているのは確かだ。渡辺氏は『家族になろうよ』をやっていたときの手応えの1つとして、ゲストの反応を挙げた。

「保護犬や保護猫は歳をとった子も多くいます。そのとき番組に出てるゲストの芸能人の方々が、みんなすごくかわいがるんです。歳を重ねた子だからこその穏やかさが良い、と。ペットショップが基本だと、そういうかわいさを知らないんですよね。だから年齢を重ねた動物たちのかわいさが広まるのは、保護動物の認知が上がるきっかけにもなるかなと思っています」(渡辺氏)

【次ページ】ペット業界におけるイノベーションとは?

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June 11, 2020 at 04:10AM
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