長野県松本市の北アルプス・上高地に生息するニホンザルが、冬場に魚類などを餌としていることが、信州大理学部の東城幸治教授(50)=進化生物学=らの研究で分かった。東城教授によると、サルの仲間が河川に生息する魚類を捕食していたとする研究報告は世界で初めて。
上高地は標高1500メートルで、冬季の気温は氷点下20度以下まで下がり、世界で最も寒い地域に生息しているサルとされる。東城教授によると、一帯には約200匹が暮らし、夏場は植物や昆虫を主食としている。
東城教授は餌資源が枯渇する冬場の食性に注目。2017〜19年の冬場に、上高地を流れる梓川沿いの約15キロ区間で、複数のサルのふんのサンプル38個を採取。DNAを解析したところ、うち7個でイワナの雑種などサケ科の魚類、18個でカワゲラなどの水生昆虫類のDNAが検出された。
付近では、冬場にサルが水生昆虫を採取するような行動が見られており、今回の研究で科学的に立証された。ただ、魚類のDNA検出は想定外の成果とし、東城教授は「餌資源として魚類をコンスタントに利用している可能性が高い。上高地でサルが生活を維持する方法がひもとけてきている」と話した。
論文は11月29日に英国のインターネット上の学術誌に掲載された。 (大塚涼矢)
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