水揚げされても規格外などの理由で流通に回らない「未活用魚」。大切な資源なのに人々の口に入らない、もったいない魚たちだ。今春、静岡県熱海市を舞台にあった料理のコンテストで、全国の参加者が未活用魚を使い、おいしく食べる工夫やアイデアを競った。魚調理は初心者の記者(40)も体験参加し、海の恵みと人間の関係について考えた。 (河郷丈史)
コンテスト「クリエイティブ・クッキング・バトルin熱海」は、熱海市の有志による未活用魚のPRプロジェクト「熱海千魚ベース」の一環で二〜三月にオンラインで開催。一般公募で三十組が参加した。
参加者は熱海の海で意図せず網に掛かった未活用魚を受け取ってレシピを考え、調理風景などの動画を提出。未活用魚のほか、家庭で余った食材、それぞれの地元食材も使う決まりで、アイデアや生ごみの少なさなどが評価ポイントだ。
魚種などは事前に案内されない。「何が水揚げされ、どれが未活用魚になるのかは当日にしか分からない。ワクワクしながら待ってほしい」と事務局の水野綾子さん(36)は言う。
届いたのは、普段から身近なサバとカマスだ。送ってくれた熱海魚市場社長の宇田勝さん(59)に聞くと、通常出回るサバは五十〜六十センチだが、届いたのは半分のサイズ。小さすぎて切り身などとして売りにくいそうだ。カマスも時季外れで身が細く、買い手がつかない個体だったという。
このほか、取れた量が少なくて流通コストに見合わなかったり、傷が付いていたりして未活用魚になる例も。地域によっては高級魚として扱われる魚でも、水揚げされた地域で食べる文化がない場合もあるとか。「水揚げの大半が未活用魚になる時もあるんですよ」
考えたのは、サバとカマスのオイルベースパスタだ。二匹を三枚におろし、身はふっくら、あらはカリカリになるまでオイルで加熱。魚のエキスが溶け込んだオイルで、冷蔵庫にあったニンニク、地元産のネギ、パスタを炒め、魚を盛り付けた。身は臭みもなくおいしい。頭や骨もせんべいのように食べられた。
グランプリに輝いた東京都葛飾区の井田かれんさん(11)、まりあさん(8つ)の一家はイワシとカマスで、パスタとコンフィ(オイル煮)、スープの三品がそろうイタリアンコースを考案。パスタはあらを煮出しただしと身を低温で煮たオイルを使い、味に深みを出した。地元の野菜を加え、家にあったポンカンは皮、セロリは捨てがちな葉も香り付けやだし取りに活用。一家は「未活用魚はとてもおいしく、可能性は無限大。これからも井田家流メニューを開発したい」と意気込む。
事務局によると、熱海の海には、日本で取れる魚の三〜四割に当たる約千五百種類がいる。スーパーなどで見る魚は種類が限られ、大きさも似たようなものばかり。「知らない魚はおいしくないかも」「この魚はこのぐらいのサイズ」など食べる側の思い込みも未活用魚を生む一因では、と感じた。「海の豊かさを知り、いろんな魚を食べてみることが私たちにできることでは」と水野さん。もし珍しい魚を売っていたら、選んでみようと思う。
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