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道北地方は国内最大の淡水魚・イトウが多く生息する地域です。そのイトウの産卵状態がことしの春、とても悪いことがわかりました。それは去年夏の猛暑と関係があるようです。(取材 稚内支局 山川信彰)
国内最大の淡水魚イトウ
大きいもので体長1メートルを超える国内最大の淡水魚「イトウ」です。幻の魚とも呼ばれていて、絶滅危惧種に指定されています。
イトウはかつて岩手県や青森県の一部にも生息していました。それが開発によって次第に生息域が減少。今では道内にのみ生息しています。4月下旬、産卵のため川の上流に遡上(そじょう)する時期を迎えました。産卵期のためオスは体全体が赤く光っていて、メスと並んで泳ぎます。
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道北の猿払村でイトウの保護活動を10年以上続けている「猿払イトウの会」の川原満さんです。巨大魚・イトウに魅了され活動に関わるようになったと言います。
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猿払イトウの会・川原満さん
「やっぱり1メートルを超える大きさだとか産卵期にきれいな赤い色が出るだとか謎の部分が多いのが魅力です。猿払は人の影響が比較的少なく良い環境が残っている地域だと思います」
去年の夏ある異変が
長年、地道な活動を続けている川原さんですが、去年の夏、驚くべきことが起きました。
村を流れる川のあちこちで死骸が見つかったのです。
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わかっただけでおよそ50匹。
本来、イトウは20度以下の冷たい水温を好みます。しかし、猿払村では去年8月、最高気温31点5度を観測。統計を取り始めてから2番目の高さとなる記録的な暑さです。死骸はその時期に見つかりました。
猿払イトウの会・川原満さん
「死骸を見つけた当日の水温は27度でした。冷水系の魚類なので20度以上になると、限界に達してしまいます。それを乗り越えられなかった個体が大量に死んでしまったじゃないかなと考えています。すごくショックでした」
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大量死後初めての産卵調査 影響は深刻
イトウが産卵するのは4月から5月にかけての春の時期。川原さんは毎年行っている産卵状況の調査を行いました。産卵した形跡のある場所は「産卵床」と呼ばれます。
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メスは1匹あたり平均して3000個を産卵すると言います。
調査の結果、ことしの産卵床は380か所。870か所が例年の平均。これまでにないほど激減していました。
猿払イトウの会・川原満さん
「ほとんどの河川で減少が認められたのは初めてです。すごくショックでした。イトウが生息できない環境になってしまったということ自体がほかの魚だとか生き物にダイレクトに影響してくる。近年異常気象だったり気候変動だったり叫ばれていますので、地球全体の問題として環境の保全だったり希少種の保存を進めていかなければいけない」
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産卵床の減少は去年の大量死と大きな関わりがあると長年、イトウを研究している江戸謙顕主任文化財調査官(文化庁)は分析しています。
「ことしの産卵床の数の減り方はかなり大きかったので、やはり昨年の親魚の死亡が影響している可能性はかなり高い。産卵床の数が減少すればそうした稚魚が減少して親魚になるわけですから、何世代にもわたって減少する可能性があり長期的なスパンで影響見ていく必要がある」
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川の水温上昇を抑えるのは難しいことですが、対策の1つとして、川沿いの森林を伐採しないことが上げられるといいます。森林は直射日光をさえぎる効果があるとのことです。
まずは今の自然を残すことがイトウを守る第一歩といえそうです。
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取材 稚内支局・山川信彰記者(左)
2022年6月15日
サケカメラ2021-2022 札幌 川の野生を追う
2021年の猛暑では札幌市内の川でもサクラマスが大量に死んでいました。
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June 15, 2022 at 05:45PM
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