Plankton Air: コツメカワウソの生態知って野生生物ペット化、WWFが警鐘上野動物園でイベント

Tuesday, October 4, 2022

　「世界動物の日」の４日、野生生物の「ペット化」に警鐘を鳴らすイベントが東京都台東区の上野動物園であった。園職員らが来園者を前に、絶滅の恐れがあるコツメカワウソがペットの対象として密輸されていることや、飼育の難しい生態を解説するなどして、動物の視点で考える大切さを訴えた。（浜崎陽介）

　環境保全に取り組む世界自然保護基金（ＷＷＦ）ジャパンと動物園の共催。動物園教育普及課の大橋直哉課長とＷＷＦジャパン自然保護室の浅川陽子さんが講師を務めた。

　愛らしい見た目から人気が高いコツメカワウソは、国際自然保護連合のレッドリストで絶滅の恐れがある危急種に指定。二〇一九年にはワシントン条約で原則輸出入が禁止された。タイやインドネシアなどに生息するが、ペット用に捕獲されるなど、三十年間で個体数が３０％減ったとされる。

カワウソについて解説する大橋さん（左）＝台東区の上野動物園で

　大橋さんはコツメカワウソが人に懐きにくく、牙が人間を傷つけるおそれがあると指摘。自由に泳ぎ回れる広いスペースも必要で「ペットに向かない。動物が幸せかということを考えてほしい」と強調した。また、かつて日本にニホンカワウソが生息していたが絶滅した実態も解説。毛皮目的の乱獲などが原因だった。

　浅川さんは日本への密輸入を狙ったコツメカワウソが空港で押収される例が後を絶たないとも説明。近年、他の野生生物の輸入も増えている現状を示し「野生生物をペットにすることは密猟や密輸につながる。絶滅のリスクだけでなく、動物由来の感染症のリスクもある」と注意を促した。

　話の後、参加者はコツメカワウソがエサを食べている様子を見学した。世田谷区の女性会社員（４９）は「カワウソが好きでペットにしたい気持ちがあったが、飼うことはできないなと改めて思った。動物園で見て楽しみたい」と話した。

　解説イベントは七日まで。各日午前十一時から。

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