輪島市では、被災した自宅で愛犬の面倒を見ながら暮らす住民やペットと同行できる避難所で猫と生活を送る住民がいる。水道などのインフラが整わず、避難生活の長期化が予想される中、「ペットと過ごす2次避難所や仮設住宅があれば」と願う。 (奥村友基)
輪島市内の避難所 輪島高のみ同行可能
同市河井町で喫茶店を営む杉窪甲子郎さん(74)は倒壊した建物が並ぶ通りで、愛犬「まめ」を散歩させていた。杉窪さんは店舗兼自宅でまめの面倒を見ながら、自身は輪島中学校に妻(72)と避難している。自宅は外壁がはがれて傾き、住めない状態。だが「避難所に犬を連れて行くのは申し訳ない」と裏口の玄関に犬小屋を置いた。杉窪さんは朝夕の2回、輪島中から自宅に行き、まめの餌やりと散歩をしている。ドッグフードは昨年末に買いだめしたが、まめを落ち着かせるためのおやつは少なくなった。「地震のせいか普段より落ち着きがない。疲れているようにも見える」と気遣う。
今後の生活について「インフラがズタズタの輪島からはしばらく離れないといけないと思う」と話し、「犬を飼った以上は置いてはいけない。2次避難所には一緒に行きたい」と望む。
市によると、市内48カ所の指定避難所うち、ペットと同行できるスペースがあるのは9日午後3時現在、輪島高校のみだった。
同校に愛猫と避難している60代の女性によると、教室1部屋がペット連れの専用スペースとして用意され、7世帯ほどが犬や猫と過ごしている。ペットはケージに入れられたたり、リードにつながれたりして、教室内にいるという。
女性は「(教室は)動物を飼っている人ばかり。騒音や匂いのトラブルもなく過ごせていてありがたい」と胸をなで下ろす。それでも夜間に猫が鳴いたり暴れたりする時は周囲への気遣いから車の中で面倒を見るという。自宅は裏山が崩れそうで、いつ戻れるか分からない。「ペットと安心して暮らせる仮設住宅や2次避難所に移れればうれしい」と話す。
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