<東北の本棚>身近な魚へ 縁結び直す
サケをつくる人びと 福永真弓 著
コンビニのおにぎりや回転ずしでおなじみのサケ。当たり前のように日々食べていながら、サケ漁や資源管理の実態を詳しく知っている人がどれほどいるだろうか。サケが近場の川にさかのぼる東北に暮らす私たちでさえ、それは例外ではない。
本著は宮古市の津軽石川や北海道を舞台に、現場に足しげく通った著者が、サケ漁や人工ふ化放流の地域史を463ページのボリュームにまとめた労作だ。水産業的な養殖技術の解説ではなく、人間とサケが有史以来どう関わり合ってきたかに主眼を置いている。
宮古では江戸時代には既に漁場の縄張り争いが起き、稚魚捕獲の禁止など資源管理が行われた。明治初頭には人工ふ化放流事業に取り組み始めたというから驚きだ。裏返せば資源減少への危機感がそれだけ早くからあったとも言える。昭和には北洋サケマス遠洋漁業が発展し、乱獲を国際的に批判されて衰退の道をたどる。
今やサケは消費者の好む脂の乗った肉質に人工的に操作され、身の色までカラーチャートで管理される時代。家畜ならぬ「家魚」、「モノ」扱いだ。成魚の養殖技術も開発が進む。
人工的な施設で育てられる時間が長くなるにつれ、人間とサケが身近に関わり合う社会からは離れていく。その結果、私たちはサケに無知になった。三陸沿岸の秋サケ漁獲量が記録的不漁に陥るなど、人工ふ化放流事業の根幹も揺らぐ。著者は「サケとの縁を再び引き寄せ、結び直そう」と問い掛ける。
全体に学術的でたやすく通読できる内容ではない。腰を据えて地域とサケ漁の歴史に向き合いたい人には読み応えのある書となるだろう。
著者は1976年愛媛県出身。東京大大学院博士課程修了。現在、同大学院准教授(環境社会学、環境倫理学)。著書に「未来の環境倫理学」など。
東京大学出版会03(6407)1069=6930円。
2020年04月26日日曜日
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April 26, 2020 at 08:30AM
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