Tuesday, July 21, 2020

99.5%の光を吸収する世界一真っ黒な魚「ウルトラブラックフィッシュ」が発見される - GIGAZINE


海面からの光がほとんど、あるいはまったく入らない深海では、生息する生き物の多くが生物発光で光を作り出し、獲物を探しています。しかし、スミソニアン自然史博物館の研究者が、「皮膚に当たるほぼすべての光を吸収する」という全く逆の生存戦略に基づいて進化した魚を発見したと報告しています。

Ultra-black Camouflage in Deep-Sea Fishes - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0960982220308605

Scientists unlocked the secret of how these ultrablack fish absorb light | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/07/scientists-unlocked-the-secret-of-how-these-ultra-black-fish-absorb-light/

スミソニアン自然史博物館の研究員であるカレン・オズボーン氏が、キヤノンのEOS 6D Mark II・65mmマイクロレンズにストロボを4つ装着して撮影した写真が以下。魚は漁船によって引き上げられたもので、オニキンメ属(Anoplogaster cornuta)の一種です。


しかし、カメラの設定や照明条件を変えながら何度撮影しても全身が真っ黒になってしまったとのこと。コントラストを調整し、画像全体にハイパスフィルターを均一に適用したことでようやく撮影できたのが以下の写真。


オズボーン氏は「この魚の皮膚は光を吸収しているのではないか」と考え、デューク大学の生物学者であるゾンケ・ヨンセン氏と協力し、魚の皮膚が光を吸収する割合を測定しました。その結果、問題の魚の皮膚に当たった光の99.5%以上が吸収されることが判明。

そして調査を重ねた結果、魚の表皮よりもさらに深い層にある真皮細胞に、光吸収色素のメラニンを内包した「メラノソーム」と呼ばれる細胞小器官が大量に含まれていることがわかりました。研究チームは、このメラノソームを大量に含む皮膚が深海の中で強力な迷彩として働くとみています。


さらにオズボーン氏らは、このオニキンメ属の魚と同様に光のほとんどを吸収する真っ黒な魚を16種特定しました。「16種のうち最も黒い魚は、99.96%の光を吸収する物質・ベンタブラックと同レベルに黒かったことがわかりました。ベンタブラックは密な状態にあるカーボン組織の中に光を閉じ込めますが、この魚はメラニン色素で光を吸収しています」とオズボーン氏は語っています。

また、デューク大学の大学院生で論文共著者のアレクサンダー・デイビス氏は「物を真っ黒に見せるには、光の散乱と吸収の両方が必要です。一般的に生物による光の散乱は、鳥の羽やチョウのりん粉のようなキチン質やケラチン基質によって行われ、光の吸収はそれらの基質に含まれるメラニンによって行われます。しかし、今回の研究対象となった魚は、光の散乱と吸収のどちらもメラノソームで行っていることがわかりました」と報告しています。


実際に、2018年には光の99.95%を吸収して真っ黒にしか見えない羽を持つ「スーパーブラックバード」の羽の構造が解析され、羽の基質の構造によって光が散乱し、真っ黒な見た目が作り出されていることが判明しています。

光の99.95%を吸収して真っ黒にしか見えない羽を持つ「スーパーブラックバード」の秘密が明らかに - GIGAZINE


研究チームは、この研究の最終的な目標は、望遠鏡やカメラなどの光学機器の内部コーティングに使われる黒色素材をはるかに安価で簡単に製造する方法に応用することだと述べました。

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