新型コロナウイルスという未曾有の脅威によって2度目の夏を迎えることになった、欧州の長い2019/20シーズンがようやく閉幕した。トラブルに見舞われ、新たな様式への適応も求められながら、タイトル獲得や昨季からの巻き返しなど様々な目標を掲げていた各クラブの戦いぶりはどのようなものだったのだろうか。今回はマンチェスター・シティの1年を振り返る。(文:編集部) 【画像】マンチェスター・シティの基本フォーメーション
●ラポルトの離脱で全ての歯車が狂った ペップ・グアルディオラにとって2019/20シーズンは誤算続きの1年だったに違いない。 最初にして最大の誤算は昨年8月末、プレミアリーグ第4節のブライトン&ホーブ・アルビオン戦でエメリック・ラポルトが負傷し、長期離脱を強いられたことだ。右ひざを痛めたフランス代表センターバックは手術に踏み切り、約5ヶ月もの欠場を余儀なくされた。 その間にスケジュールはどんどん消化され、ラポルトが復帰したのは1月末のプレミアリーグ第24節のシェフィールド・ユナイテッド戦だった。そして、戻ってきた時にはすでに優勝争いの大勢は決していた。 昨年末からリーグ優勝に関して「非現実的」と語っていたグアルディオラ監督は、ラポルト復帰直後の2月2日にトッテナム戦を落とし、「我々の目標は他のタイトルを獲得し、来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を手にすることだ」と白旗を揚げた。この時点で首位リバプールとの勝ち点差は22ポイントまで広がっていた。 ラポルトの離脱がいかに大きな打撃だったかというのは、不在時のディフェンスラインのやりくりの苦しさを見ればよくわかる。 もともと攻撃から守備への切り替えに課題を抱えていたシティは、これまでフェルナンジーニョを中盤の底にフィルター役として配置することで問題の解決を試みていた。しかし、広大な守備範囲と高いボール奪取力を誇るブラジル代表MFも30代半ばに差し掛かり、年間を通してフル稼働は難しく、無理も利かなくなってきていた。 そこでシティはアトレティコ・マドリードからスペイン代表MFロドリを獲得し、フェルナンジーニョの後継者に据えることを計画していた。おそらくシーズン開幕からしばらくは2人を併用しながら、時間をかけてロドリのプレミアリーグへの適応を待つ方針だっただろう。 ところがラポルトの負傷で全てが狂ってしまった。ディフェンスリーダーとして最終ラインの統率を任せられるほどニコラス・オタメンディやジョン・ストーンズへの信頼は厚くなく、グアルディオラ監督は泣く泣くフェルナンジーニョをセンターバックにコンバート。急場凌ぎ感は否めず、ロドリをイングランドサッカーに馴染ませるための準備期間も取れなくなってしまった。 ●中断明けの好調は時すでに遅し シティはラポルトが離脱した直後のノリッジ戦でシーズン最初の敗戦を記録すると、前半戦だけでウォルバーハンプトン戦、リバプール戦、マンチェスター・ユナイテッド戦と重要なゲームを落とした。 リバプールとの直接対決で敗れたプレミアリーグ第12節終了時点で、首位との勝ち点差は9ポイント。そこから差が縮まることはなく、ライバルの姿はどんどん遠くなっていった。 2連覇を達成した2018/19シーズンはリーグ戦14連勝もあり、爆発力と安定感を兼ね備えていたのが近年のシティだった。一方で2019/20シーズンのリーグ戦で最大の連勝は「5」となかなか波に乗り切れなかった。 先に述べた通り、ラポルトの長期離脱もこうした不安定な戦いぶりの大きな要因だが、攻撃面にも「アイディア不足」という課題があった。 グアルディオラ監督がシティに植えつけた攻撃的なサッカーにおいて、ケビン・デ・ブライネやダビド・シルバの「ペナルティエリア角」の攻略や「偽サイドバック」とも呼ばれる独特なサイドバックのポジショニングなどは大きな鍵だったが、徐々に相手も対処法を見出しつつあった。 そこで2019/20シーズンは両サイドバックをアウトサイドに走らせての攻撃参加とシンプルなクロスをオプションに加えようとした。インサイドだけでなくアウトサイドからの攻撃もあることを見せられれば、ゴール前を固める相手守備ブロックを外側に広げることもできる。 しかし、バンジャマン・メンディやカイル・ウォーカーの攻撃参加に頼る傾向が強まることで、今度は柔軟性を失い、インサイド攻略がおろそかに。単純なクロスを弾き返され、そのままカウンターで失点してしまうような場面が増えた。 そこでシティがもともと抱えていた「攻撃から守備の切り替え」という課題が露見したのである。それがウォルバーハンプトンやユナイテッドに1シーズンで2度敗れている理由であり、リバプールに大敗した原因でもあった。 中断明けは延期分も含めたリーグ戦10試合で8勝2敗という好成績を残したものの、後の祭りに過ぎず。最後はチェルシーに敗れた瞬間、リバプールの優勝が決まってしまった。7試合を残しての優勝決定はプレミアリーグ史上最速の記録となった。 グアルディオラ監督は約3ヶ月におよんだ中断期間で方針転換を図り、シティは本来の姿を取り戻した。インサイドのタレント力を生かした攻撃スタイルに戻し、大勝を重ねたのである。10試合のうち4点差以上をつけたのが6試合あり、うち4試合は「5-0」という無慈悲なスコアだった。 CLではまたもベスト8の壁を超えられなかったが、試合内容の面ではいい時の力強さが戻ってきているのは新シーズンに向けた好材料と言えるだろう。選手個人に目を向けてもデ・ブライネがプレミアの年間MVPを獲得し、一時の不振を脱して、いまだリーグ最高の選手たる所以を存分に証明する1年を過ごした。つまり決して収穫が何もなかったわけではない。 ●CL出場権剥奪を回避。メッシ獲得は…? そしてピッチ外でも大きなトラブルが解決した。過去の書類改ざんなどによって欧州サッカー連盟(UEFA)が定めるファイナンシャル・フェアプレー(FFP)違反が指摘されていたシティには、2シーズンのUEFA主催大会の出場禁止と罰金2500万ポンド(約36億円)という厳しい処分が言い渡されていた。 当然、処分を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に上訴したシティは、この案件で「無罪」を勝ち取り、CL出場権剥奪の危機を回避したのである。7月中旬にCLからの締め出しがなくなることが決まり、グアルディオラ監督もシティのフロントも安堵したことだろう。 CL出場が可能であれば主力の流出を避けることができ、財政的なダメージも最小限に抑えらるのだ。やはり欧州最高峰の舞台に出場することで得られる巨額の賞金や放映権料収入はクラブにとって大きな財源であり、大型補強などを可能にする資金の拠りどころでもある。 今、シティは転換期を迎えている。前シーズン限りでヴァンサン・コンパニがチームを去り、2019/20シーズンは10年間ともに歩んできたダビド・シルバが退団(レアル・ソシエダへの移籍が決定)。32歳になったセルヒオ・アグエロもフル稼働は難しくなってきていて、主力の高齢化が進む。 リバプールに奪われたプレミアリーグのタイトルと、グアルディオラ監督が欲してやまないCLのトロフィーを掲げるためには、新陳代謝が求められる。そんな状況で、シティは2020/21シーズンに向けた補強を進めている。 バイエルン・ミュンヘンへ去ったレロイ・ザネの移籍金収入を使い、バレンシアからスペインの若き至宝フェラン・トーレスを迎え入れた。そして最大の懸念材料だったセンターバックには、2部降格となったボーンマスからオランダ代表のネイサン・アケーを確保している。 さらに最近ではバルセロナ退団を望んでいると報じられたリオネル・メッシの獲得に向けて、グアルディオラ監督が電話で会談の場を持ったとも。バルセロナで一時代を築いた2人がマンチェスターで再会することになれば、取り組むサッカーも、目指す方向性も大きく変わってくるだろう。 失敗の要因がハッキリしていた2019/20シーズンの反省を踏まえ、求道者グアルディオラは針路をどこに向け、どんなフットボールを表現しようとしているのか。シティは新たなサイクルに入る、一歩手前に差し掛かっている。 (文:編集部)
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September 04, 2020 at 09:10AM
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マンC、プレミア3連覇を逃した理由とは? 早々にペップの計画が崩壊、数少ない収穫は…【19/20シーズン総括(8)】(フットボールチャンネル) - Yahoo!ニュース
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