「もし新型コロナウイルスに感染したら、うちのペットはどうなる?」-。読者から不安の声が届いた。感染者は原則として病院か宿泊施設で一定期間療養することになり、ペットは連れて行けない。どんな備えが必要で、感染したらどう対処すればいいのか取材した。 【写真】【関連表】ペットを預ける場合のポイント
「予防には十分気をつけているが、それでも感染するかもしれない。心配だ」。鹿児島市で野良猫や捨て猫の保護活動をする団体の理事鶴田優子さん(45)は、暖かい部屋でのんびり過ごす猫たちをなでながら話した。 猫と触れ合える店「猫好きルームもふもふ」(新屋敷町)で、譲渡対象を含む14匹を飼っている。コロナ拡大以降は店のスタッフや知人と、いざという時に助け合うことを繰り返し確認してきた。 しかし交流のある飼い主には、1人暮らしだったり、複数匹を飼っていたりと緊急時の対応に不安がある人も少なくない。「感染は突然分かる。危機感を持って備えることが大切だと思う」 ■自分で探す ペットの預け先は感染者が自分で探し、誰がどんな方法で運ぶかまで決めることが原則だ。県内で預かりに応じる施設は少なく、現実的には家族や親戚、友人知人にお願いすることになる。 鹿児島市保健所によると、市内のペットホテル(動物病院併設含む)78カ所のうち、コロナ関連の預かりに応じる施設は今のところ3カ所だけ。ペットから人への感染は確認されていないが、海外で人からペットに感染した事例があることが影響しているようだ。
鹿児島地区獣医師会は各病院に判断を任せている。政岡和彦会長は「人からペット、ペット同士の感染の可能性を否定できず、どの病院も預かるのは難しいのではないか」と説明する。 預かりサービスを始めたペット保険大手の動きがあるものの、対象地域が関東に限られており、県内の飼い主の不安解消につながっていない。 預け先を見つけられない場合、県内では各地区の保健所が相談に応じている。県生活衛生課と鹿児島市保健所によると、感染した飼い主からの相談が増加。昨年末までに施設を仲介した事例は計6件あった。ほとんどが感染判明後に預け先を捜して見つからなかったケースだった。 鹿児島市の1件では、保健所がペットホテルを紹介。感染者の周囲に運ぶ人を見つけられず、緊急措置として職員が連れて行った。費用は飼い主負担という事情もあり、翌日には飼い主の知人が引き取ったという。 ■受け渡しに注意 小泉進次郎環境相は昨年5月の記者会見でペットの飼い主に対し、「感染した場合の預け先をあらかじめ考えておいてほしい」と呼び掛けた。環境省や厚生労働省は注意点を公開。鹿児島県や鹿児島市のホームページにもリンクが張られている。中でも東京都獣医師会の情報が詳しい。
一番のポイントは人と人の接触を避けることだ。猫や小型犬ならキャリーバッグに入れて玄関先に置き、時間を決めて受け渡すなど手順を事前に確認。飼い主は十分な量のえさを用意しておくことや、マイクロチップ装着の有無、ペットの性格や生活習慣などの情報を事前にまとめておくことも重要だ。 鹿児島市保健所の川原成明参事(生活衛生課長)は「飼い主が困らないよう、相談を受け付ける態勢は整えている。大切なペットのために、十分な備えをしてほしい」と呼び掛けている。
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January 17, 2021 at 08:45AM
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