魚介類の生態や食べ方の知識を問う「日本さかな検定」の最難関「1級」に史上最年少で合格した小学6年生、伊藤柚貴（ゆずき）さん（12）＝福岡市＝が、これまで食べた約400種類から厳選した魚を紹介する「さかな博士のレアうま魚図鑑」（日東書院本社）を出版した。希少魚を入手してはスケッチし、自分でさばいて味わうほどの魚好き。新型コロナウイルス禍の臨時休校期間などを利用して知識を増やし、解説やコラムも手掛けた。 【動画】自慢の包丁さばきで魚をおろす伊藤柚貴さん 幼稚園児のころ、魚に興味を持った伊藤さん。釣りが趣味の父、「魚を食べるのは好き」という母がともに魚にさわれないため、自分でさばくことを覚えたという。釣ったり買ったりした魚を隅々まで観察してスケッチ。その後、調理して食べる。刺し身にして盛り付けるのも得意だ。 魚好きが高じ、漁業関係者の間でも超難関とされるさかな検定1級（合格率8％弱）に、10歳という史上最年少で合格。「さかな博士」としてテレビにも出演した。
「描きためたスケッチを本にまとめませんか」と、出版社から声が掛かったのが昨年春。新型コロナ「第1波」による臨時休校が始まったころだった。夢中で描いたスケッチを眺め返すと、一匹一匹の光沢や、尾の格好良さなどが新鮮な驚きとしてよみがえってきた。魚の知識を更新し、1日12時間ぐらい執筆した日もあった。 図鑑には196種のスケッチに手書きの解説を添えて、コラムも掲載。魚の外見の特徴ばかりでなく、旬の時季や試しておいしかった調理法も記した。 伊藤さんが「レアうま魚」1位に推すのはスズキ目のアイブリ。解説には「カンパチの幼魚（シオ）に似ているが、それよりも老けて見えるため別名シオノオバサン」とある。詳細なスケッチに加え、三枚おろしの手順やあぶり刺し丼の写真も紹介する。
巡り合った魚それぞれに思い入れがある。大潮の日に釣りに行った戸畑港（北九州市）で、満潮の深夜の水面に大きなサヨリが浮いてきた。とっさにたも網をバーンとたたきつけて捕まえた瞬間が忘れられない。食べてみたくて毒のあるゴンズイにうっかり触れ、痛い目に遭ったこともある。 流通せず捨てられることの多い未利用魚（みりようぎょ）を「魅了魚（みりょうぎょ）」と呼び、「すべての海の恵みを一匹一匹かみしめてほしい」と願う。 「コロナ禍が明けたら、沖縄の海で潜水に挑戦して、魚と出合ってみたい」。厳選した魚を集めて、「釣り堀屋」を開くのが夢だ。 （今井知可子）
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February 16, 2021 at 12:20PM
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