家族として共に過ごしたペットが世を去った時、深い悲しみと喪失感にさいなまれる「ペットロス」にどう向き合うか。当事者にとってはつらい深刻な問題でも、周囲から理解してもらえないと、悲しみがさらに深くなる場合もある。ペットロスが起きた時にどう心を癒やして折り合いをつければよいかを考えた。 (小松田健一)
一般社団法人ペットフード協会(東京)の二〇二一年版「全国犬猫飼育実態調査」では、平均寿命は犬が一四・六五歳、猫は一五・六六歳。以前より延びたとはいえ、別れの時はいずれ訪れる。
家族や親しい人を亡くした悲しみに苦しむ人を支える「グリーフサポート」を手がける「ジーエスアイ」(東京都中央区)社長の橋爪謙一郎さん(55)は「ペットロスになった時、相談できる相手がいないことが大きな問題。だから、いざという時にどうすればよいかが分からない」と話す。
橋爪さんは実家が葬儀社を営んでおり、遺体衛生保全(エンバーミング)などを学ぶため、一九九〇年代に米国に留学。その際、日本以上にペット大国である米国で、ペットロスへの高い問題意識に接した。
日本でも必要性が高いと考えた橋爪さんは、帰国後に開設したグリーフサポートの講座で、ペットロスも取り上げるように。二〇一七年には「大切なペットを亡くしたとき」という小冊子を発行。八つのQ&Aの形で、ペットを亡くした人の悩みや疑問に答える。
例えば「ペットが突然事故で亡くなってしまったので実感がなく、涙もでてきません。私はおかしくなってしまったのでしょうか」という問いには「自分自身がこれ以上傷つかないように、人は防御反応として情報をシャットアウトし、身を守る。これも自然な反応で、おかしなことではありません」などと答える。
橋爪さんは「ペットの死後に起きる心身の不調を『自分はおかしくなってしまった』と感じる人が多いのですが、それはごく自然な反応です」と話す。
その上で小冊子では「悲しみと折り合いをつけるということは、死別による心の傷とペットの思い出の両方をもって、新しい自分へと変化していくことです」などと優しく語りかける。
ジーエスアイの講座で学んだ名古屋市の大河内りこさん(54)は飼っていた犬を亡くした経験を持つ。「講座で学んだ知識がなければ体も心も疲弊していたと思います。ペットロスのことは先に知っておいた方がいい」と話す。自身も現在は地元で、一般向けにペットロス講座を開いている。
大河内さんは「親しい人を亡くした悲しみとは似て非なるもの。自分自身を失ったようなショックを受ける」とペットロスの特徴を分析する。
ペットは室内飼いが一般化して飼い主との物理的、精神的距離が縮まり、家族同然の存在に。いずれは自立する子どもとは異なり、生涯にわたって面倒をみるため、「飼い主の人生そのものの存在になっていることが大きい」という。
「悲しみを短期間に癒やそうとせず、泣きたい時は泣いて感情を開放し、一緒に過ごした幸せな時間や楽しい思い出を糧とすることが大事」と大河内さん。そうした気持ちを口にしたり、心でつぶやいたり、あるいは書き記すことも癒やしにつながるという。
周囲の接し方も大切だ。「『また新しいペットを飼えばいい』といった言葉はたとえ善意からでも、かえって心の傷を深くして逆効果になることがあります。何も言わなくていいので、まず飼い主の言葉に耳を傾けてほしい」
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