Monday, August 8, 2022

沖縄でおつまみに人気の魚「スク」 取れなくなったのはなぜ? 1キロ5千円で売れる「海のボーナス」失い漁師は落胆 - 沖縄タイムス

スクが大量に水揚げされた伊是名漁港=2017年7月23日

[あなたのナゼにココホル取材班]

 「今年はスクがなかなか手に入らない。原因を調べてほしい」。こんな取材依頼が本紙に寄せられた。スクとはアミアイゴの稚魚。旧暦6月と7月の1日、15日の大潮の日をピークに県内各地で水揚げされ、季節の風物詩になっている。これを塩漬けしたスクガラスは酒のつまみとしても人気の伝統食。「沖縄の食文化の一つがなくなってしまうのでは」と、依頼者の声に危機感がにじんでいた。

 声の主は趣味でスクガラスを作っている沖縄市の港川竹信さん(67)。今年は知人や県内各地の漁港に連絡したが、スクが手に入らないという。幼少期を過ごした東村では旧暦の6月1日や15日になると漁師が船いっぱいにスクを取り、それを集落のみんなで分け合った。

 母が作ったスクガラスを家族みんなで頬張った記憶を思い出し、12年前から自身もスクガラス作りを始めた。だが今年はスクを入手できず、「楽しみがなくなり残念」と嘆く。

 本紙が奥武島、読谷村、恩納村、勝連、沖縄市、那覇市の漁協に聞くとスクはどこも不漁で「今年だけでなく、数年前から続いている」と説明。那覇港では2021年度の水揚げ量は537・3キロで、18年度の3821・1キロと比べて85・9%も落ち込んだことが分かった。今年度も7月29日(旧暦7月1日)時点でわずか282・0キロにとどまっている。

 原因は何か、そしてどんな影響があるのかを調べてみた。
(社会部・玉那覇長輝)

■コロナや軽石被害に追い打ち

 旧暦6月30日に当たる7月28日、南城市奥武島でスク漁に出る船に乗せてもらった。漁師たちと一緒に海面に目を凝らしたが、1時間が過ぎてもスクは一匹も姿を現さない。この船は6月の大潮の時も5日間漁に出たが、収穫はゼロだったという。漁師の嶺井幸和さん(40)は首をかしげながらつぶやいた。「7、8年前はほぼ100%で取れたのに、なぜ…」

スクの群れを探す奥武島の漁師たち。1時間探したが水揚げはなかった=南城市奥武島沖、7月28日

 スクは6~7月の大潮の時期、沿岸の藻を追い求めて群れで寄ってくる。藻を食べ始める前のスクは1キロ約5千円の高値で売れることもあり、漁師は年に数回の「海のボーナス」を求めて海に出る。

 だが、ここ数年は不漁続き。ある漁師は「今年は最悪。コロナ禍に軽石漂着の影響もあって挽回しないといけないのに大変だ」と窮状を訴えた。

■飲食店にも影響広がる

 スクの水揚げ量減少の影響は、スクガラスの製造や飲食店にも広がっている。

 県産スクガラスの製造・販売を手がける豊見城市の大城海産物加工所では昨年からスクの入荷がなく、商品を作れない。大城真理子社長は「今ある在庫がなくなれば新たに出せる商品がない」と話した。

那覇港のスクの水揚げ量

 スクはなぜ減っているのか。漁師らは地球温暖化や水質の悪化、護岸整備による地形の変化などが影響していると推測するが、実のところはよく分かっていない。

■乱獲や温暖化が要因か

 琉球大学理学部の立原一憲教授(魚類学)は「取り過ぎたことと、沖縄近海の環境が悪化していることが要因だろう」と語る。スクの親魚のアミアイゴは最大でも約15センチで商品価値がない。一方、スクは郷土料理として観光客などからも人気が高まり、需要が増加。産卵する前のスクの漁獲を長年続けたことで、年々個体数が減ったとみている。

 さらに、地球温暖化によるサンゴの白化や埋め立ての増加で海洋の環境が悪化したことが「減少に拍車をかけた」と分析する。

 近年県内で流通するスクのほとんどが輸入品だ。スクを大量に漁獲する状況が続けば、世界的にも取れなくなることを示唆。「漁獲範囲や量を制限するほか、2~3年の禁漁を考える必要がある」と提言した。
(社会部・玉那覇長輝、東江郁香)

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August 07, 2022 at 06:06AM
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