Friday, January 24, 2020

アジアに広がる新型肺炎、対策の温度差が生む大感染 - JBpress

手本にすべきはシンガポールの徹底的対策

2020年1月23日、香港の高速鉄道の搭乗口に詰めかけた人々。多くの人がマスクを着用している(写真:AP/アフロ)

(PanAsiaNews:大塚智彦)

 中国湖北省武漢を中心にして中国各地、そして日米韓など世界各地への飛び火が現実問題となっている新型コロナウイルスによる肺炎の懸念は、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国にも飛び火している。タイではすでに4人の感染者が確認され、フィリピンでは、セブ島を訪れていた中国人の男児が「感染の可能性濃厚」とされ、現在はオーストラリアの研究機関からの最終的な検体検査の結果を待っている状態。シンガポールでも、1月23日、同国初の感染者が確認、報告された。

 まだ感染者の公式報告がないインドネシア、カンボジア、ラオス、ミャンマーなど他のASEAN各国も感染拡大を水際で食い止めようと必死の対応策、検査態勢をとっている。ただ、発熱を伴わない感染や潜伏期間が約2週間あることなどから、どこまで効果的な対応策が取れるのか、各国の医療、保健、入管当局は頭を悩ませている。

インドネシアは感染濃厚者情報を否定

 インドネシアでは、一部マスコミによって「感染の可能性が高い患者発生」という報道がなされていたが、インドネシア保健省は1月24日、これを否定するという一幕があった。同省は併せて、ネット上などに流れる感染症に関する信頼できない情報や偽ニュースに惑わされないように国民に改めて呼びかけた。

 同時に、感染対策には政府を挙げて取り組む姿勢を示しており、ジャカルタ市内の大手総合病院やウイルス検査機関もスタンバイの状態を整えている。

 たとえば水際対策だ。

 毎年の春節には多くの中国人観光客が訪れる国際的観光地バリ島のングラライ国際空港や首都ジャカルタの玄関口スカルノ・ハッタ国際空港、シンガポールに隣接して中国系インドネシア人やシンガポールの中華系市民が頻繁に往復するバタム島のハン・ナディム国際空港、国際フェリー港などで、サーモグラフィーや簡易体温測定器による到着客の体温検査の実施を強化しているという。

 検査・医療体制では、たとえばジャカルタの大手日系クリニックでは、23日にインドネシア人医師、看護師、スタッフなどと「新型コロナウイルス対策」を協議し、少しでも疑いのある患者を診察した場合には近くにあるインドネシアの総合病院に搬送し、そこで詳細なウイルス検査を受けるという手順を再確認したという。

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