「戦争に負けた」とは、戊辰戦争で新政府軍に敗れたことで、第２次世界大戦で日本が米国などの連合軍に敗れたことではない。戊辰戦争から１５０年以上を経てなお会津ではこんな会話を耳にする。知らぬ間に朝敵とされた会津藩の無念さがにじみ出る
▼その戊辰戦争で会津藩は約１カ月の籠城戦を繰り広げ、小田山から連日砲弾を浴び続けた。城内の女性らは不発のまま落下した砲弾をぬれた布団や衣類で包み、処理したという
▼新型コロナウイルスの感染拡大防止のため求められている長期の外出自粛を、籠城戦に例える人もいる。砲弾は浴びないが、ウイルスという見えない敵が相手。世界の英知を結集しても有効な打開策はない。相当の覚悟が必要と背筋が伸びる
▼過酷な籠城戦で、会津藩の子どもたちは城内から会津唐人凧（たこ）を揚げた。包囲する新政府軍に「まだ余裕がある」ことを示すためとされる。優雅に舞う凧は城内の士気を大いに高めたという
▼戦況が目まぐるしく変わり、自粛疲れも漂う現代の籠城戦だが、ストレス軽減のためにも心にゆとりを持つことは大切だ。「今は我慢」とそれぞれが胸に刻み、前を向いて一日一日を過ごしていけば、きっと出口も見えてくる。
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May 10, 2020 at 07:09AM
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【５月10日付編集日記】籠城戦 - 福島民友
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