Thursday, July 9, 2020

インドネシア国民が抱える「アイデンティティーの危機」とは何か - 現代ビジネス

東と西で起きた小さな事件

インドネシアの世界的観光地バリ島の東に隣接する西ヌサ・トゥンガラ州(NTB)ロンボク島で、地方公共団体に勤める女性公務員に対し厳格なイスラム教徒の女性に頭部や顔の一部を覆う「ニカブ」の着用を自治体が推奨する事態が起きている。

自治体側は「あくまでコロナウイルスの感染防止の一手段である」として「宗教的な強制ではない」と強調し、議論の白熱化を抑えようとしている。

また、スマトラ島北部の西スマトラ州では、現地のミナンカバウ語で編纂されたインターネット上のキリスト教「聖書」に関して、地元の文化にそぐわないとしてネットのアプリケーションを削除するよう州知事が中央政府に要請したことが明らかになった。

東西に約5100キロメートルと広大なインドネシアの領土の、東方の島嶼地方であるNTB州と西のスマトラ島の西スマトラ州で起きた2つの出来事には、もちろん、直接的な関連はない。それぞれは大きなニュースにもならずに、コロナ禍の報道の中に埋もれてしまいそうな出来事といえるものだが、現在、インドネシアが直面している国民の「アイデンティティーの危機」という点では、その根は共通の土壌にあり、極めて深刻な問題ともいえる。

2億6700万インドネシア国民が抱える「アイデンティティーの危機」とはどのようなものか。この東西の地方で起きた小さなニュースから読み解いてみる。

gettyimages

「ニカブ」着用はコロナ対策か

6月中旬、NTB州ロンボク島中ロンボク県のモウ・スハイリ・ファディル県知事は、県の女性職員に対してイスラム教の保守的女性が頭に被る「ニカブ」の着用を求めた。

同知事は「コロナウイルスの感染が拡大しているにもかかわらず、県職員の女性は息苦しいなどの理由からマスク着用率が極めて低い。そのためマスクが嫌ならニカブを被るように提案した」と釈明している。

イスラム教徒の女性が頭に被るものは「ニカブ」「ヒジャブ」「ブルカ」などに大別される。インドネシアでは主流は頭髪を隠して顔は覆わない「ヒジャブ」(別名ジルバッブ)が主流で頭髪、鼻や口も覆いわずかに両目だけを出す「ニカブ」も存在する。もちろん何も被らないイスラム教徒の女性も多い。

アフガニスタンなどでイスラム教徒の女性が着用する「ブルカ」は、頭からくるぶしまで全身を覆い隠し、目の部分もメッシュ状の布で覆い、目すら判然と外部からはうかがい知れないという服装だ。

覆い隠す部分が増えるほどイスラム度が深まり、イスラム保守派、急進派と称される人々は女性に最低でも「ビジャブ」できれば「ニカブ」の着用を強制するケースがインドネシアでは多い。

このため同県知事は、イスラム保守派との関係が取り沙汰されることを懸念して、「イスラム教の主義主張とは全く無関係で、単にコロナ感染予防とファッション性に基づくアイデアである」と強調した。

着用しないことによる罰則もなければ、ニカブの裾まである長い衣装も不要で頭部だけで問題ない、などとイスラム教との関連性否定に躍起となっている。

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