Wednesday, September 29, 2021

<環境視点>飲食店など 美味開発 未利用魚、広がる活用 - 東京新聞

未利用魚のニベを使った包み焼き=名古屋市で

未利用魚のニベを使った包み焼き=名古屋市で

 水揚げ量が少ない、サイズが小さいなどの理由で市場に出回らず、廃棄されてしまう「未利用魚」を食べようという取り組みが広がっている。飲食店のメニューとして提供したり、加工品にしたり。貴重な海洋資源を守り、食品ロスを防ぐとともに、漁師の新たな収入源にもつながると期待がかかる。 (熊崎未奈)

 今月初旬、名古屋市中心部の久屋大通公園にある「ファブカフェナゴヤ」で開かれた新メニューの試作会。三重県志摩市産の魚「ニベ」を使った数種類の料理がテーブルに並んだ。選ばれたのは、白ワインとオリーブオイルで味付けしたイタリアの家庭料理アクアパッツァ風の包み焼き。調理した店員らは「クセがなくておいしい」「身がふっくらしている」と高く評価した。

◆海洋資源守る

 ニベは、スズキに似た白身魚。九州や沖縄では以前からよく取れていたが、二、三年前から志摩市でも水揚げされるようになった。ただ、東海地方ではなじみが薄くて市場で値が付きにくく、地元の漁師が食べたり、捨てたりしていた。同市の水産加工会社「伊勢志摩冷凍」の常務、石川隆将さん(41)は「定置網で取る魚の半分くらいは廃棄されているのでは」と言う。

三重県志摩市で水揚げされるニベ

三重県志摩市で水揚げされるニベ

 石川さんによると、魚が漁港に水揚げされるとまず、タイやスズキといった値の付く魚種が選別され、市場で競りに掛けられる。小さいサバやアジ、売り先の少ないニベなどは廃棄されたり、養殖魚の飼料になったりする。石川さんは「水揚げした以上、もっと利用しないと資源が枯渇してしまう」と危機感を抱く。

 一方で、「未利用魚の中には鮮度を保って流通させれば、おいしく食べられるものがたくさんある」とも。今年四月から、水揚げされたニベを漁師から買い付け、その日のうちに切り身にして冷凍し、三重県内のホテルに卸すようになった。

◆漁師の支えに

 石川さんの取り組みを支援する同県桑名市のベンチャー企業「On−Co(オンコ)」の仲介で、ファブカフェでもニベのメニュー化が決定。カフェマネジャーの甲斐慶太さん(30)は「未利用魚の背景を知り、おいしい魚を食べ続けるためには飲食業も取り組まなければと思った」と話す。

 使用するニベは一食分八十グラムの切り身で購入。水揚げ後すぐに冷凍されているので生臭さが気にならず、調理もしやすいという。提供する際は未利用魚の現状を説明した紙をトレーに敷いたり、ステッカーを客に配ったりする予定だ。甲斐さんは「未利用魚を使う飲食業の模範になれれば」と意気込む。

 伊勢志摩冷凍の石川さんは「捨てている魚を買うことは漁師の支えにもなる。消費者の皆さんに未利用魚を知ってもらい、意識して買ってもらえれば現状は少しずつ変わる」と期待する。ニベを使った「白身魚の包み焼き」は十月一日から九百八十円で販売される。(問)ファブカフェ=電050(7103)5972

◆「定期便」も発売

 福岡市のベンチャー企業「ベンナーズ」は3月、加工した未利用魚の定期便「フィシュル」を発売した。

 福岡県内で水揚げされたアイゴ、ニザダイ、キコリダイなどを買い付け、数時間以内に下味をつけて瞬間凍結したパック入り商品=写真。味付けはカルパッチョやしょうゆ漬け、ハニーマスタード焼きなど13種類。毎月か2カ月に1回、冷凍で届く。

 社長の井口剛志さん(26)は「未利用魚は食べるとおいしいレアな魚。手軽に食べて」と話す。6パック4200円から。送料別。(問)ベンナーズ=電092(692)2033

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