Monday, July 6, 2020

魚へんに「岡山」の魚とは!? 地域の食文化再興へ官民が知恵:山陽新聞デジタル|さんデジ - 山陽新聞

のぼりやクッションなどのPRグッズを手にする長谷井商店の中島取締役。ヒラを使ったさつま揚げなどの売れ行きは好調だ

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ヒラを手にする福寿司の窪田店主。「にぎりずしや刺し身の味は格別」と語る

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おいしい食べ方などをイラスト付きで紹介するリーフレット。魚へんに「岡山」の創作文字が躍る

おいしい食べ方などをイラスト付きで紹介するリーフレット。魚へんに「岡山」の創作文字が躍る

岡山県水産研究所はヒラのうまみを「味覚センサー」で解析した

岡山県水産研究所はヒラのうまみを「味覚センサー」で解析した

 おいしさは折り紙付きながら、ほぼ岡山県でしか食べられていない地魚・ヒラ。ばらずしの具材などとして古くから重宝されてきたが、小骨が多く、調理に手間が掛かることから近年は敬遠されがちだ。そんな「岡山の味」を広めようと、県内の水産関係者らが普及促進活動を本格化。魚へんに岡山と書いてヒラと読ませる創作文字や、新たな調理法や加工品を開発するなどあの手この手でPRを図っている。ヒラの食文化は再興するのか。官民の取り組みを取材した。

 ヒラは大阪湾以南の西日本沿岸から中国、東南アジア、インド洋まで広く分布。瀬戸内海には春から初夏にかけて、産卵のために入ってくる。大きいものは全長70センチとなるやや細長い魚体は、シャンパンゴールドと称されるほどの鮮やかな色合い。身の中に骨が縦横無尽に伸び、1、2ミリ間隔で包丁を入れる「骨切り」が必要なため一般家庭では面倒がられるが、中国では高級魚として扱われている。

■深い縁


 食文化に詳しい畦五月香川大教育学部教授によると、縄文貝塚遺跡・彦崎貝塚(岡山市南区彦崎)でヒラの骨が出土しているほか、江戸時代には後楽園での行事に合わせて食べられたとする岡山藩の記録もある。半面、下処理が面倒なこともあって県外では水揚げされてもほとんど食べられない。運よく廃棄されずに岡山に輸送される際は、魚の名称は「オカヤマ」とされるほど岡山との縁が深いという。

 こうした「歴史的な食文化やストーリー性」に着目したのは、練り製品製造の長谷井商店(岡山市北区二日市町)。岡山らしさのある食材を使った商品づくりを模索する中で、水揚げされても食卓に上ることが少なく、「未利用魚」「低利用魚」とされていたヒラの活用を思い立った。試作を重ね、2018年にさつま揚げを商品化。土産物などして地元百貨店やJR岡山駅などで注目を集めており、19年の売り上げは前年比3倍を記録した。岡山市中央卸売市場の荷受会社・岡山県水のヒラ仕入れ実績も、18年以降は前年比増に転じている。

 加えて長谷井商店は、ヒラの認知度を高めるため、魚へんに「岡山」と書いて「ヒラ」と読ませる創作漢字を独自に制作。のぼりやTシャツ、ちらしに活用するといったユニークな試みも始めた。中島俊子取締役は「岡山の食文化を守るためにも活動を広げ、県民がそのおいしさに触れる機会を増やしたい」と意気込む。

■ブランディング


 昨年5月には、長谷井商店が旗振り役となり、県水産研究所、県漁連、荷受会社などが加わった「岡山水産物流協議会」が発足した。おいしい食べ方などをイラスト付きで紹介するリーフレットを作り、加盟団体などを通じて配っているほか、飲食店にはヒラ料理のメニュー化、食品加工業者には商品開発を呼び掛け。新たに立ち上げたホームページを通じて「買える店」「食べられる店」を発信してもいる。

 「食べられる店」に挙げられている郷土料理の老舗「福寿司」(岡山市北区奉還町)では、15年ほど前から常にヒラをショーケースに置き、握りずしや刺し身を提供してきた。東京など県外から出張で訪れたサラリーマンらに人気が高いといい、窪田悟店主は「横綱のサワラに続く大関がヒラ。岡山でしか味わえない“逸品”を楽しみに来店される県外客が多い。ヒラをうまく発信すれば、岡山の観光振興にもつながるのではないか」とみる。

 同協議会は今後、ヒラのより効果的なPR法や、新たなメニュー開発に取り組む方針。食の洋風化で若者を中心に魚離れが進んでいることを踏まえて、岡山南高商業クラブと連携し、生徒たちの柔軟な発想や感性を取り入れていくことにしているという。同協議会長の森下倫年・元県漁連理事は「ヒラを店頭に並べるスーパーが増えるなど、少しずつ活動の成果が表れつつある。緩むことなく、さらなる認知度向上とブランディング(価値あるブランド構築)のための戦略を練っていく」と話す。

■おいしさ実証


 「季節ごとの味の特徴に応じて、食べ方を工夫するのがおすすめ」。県水産研究所海面・内水面研究室の渡辺新技師が、データを示しながら教えてくれた。

 本年度までの3年計画で、ヒラに関する各種調査・分析に取り組んでいる同研究所。重点的に進めたのが「おいしさの見える化」だ。備讃瀬戸海域でとれたヒラを毎月仕入れ、「味覚センサー」などを使って解析した結果、春は「こくがある」▽夏は「卵がおいしい」▽秋は「うまみが強い」▽冬は「脂が乗っている」-ことが数値で実証された。渡辺技師は「春秋は酢漬けや塩焼き、夏は煮付け、冬は刺し身と、いわば一年中が旬。食べないのはもったいない」と言う。

 畦五月香川大教授は「人々の嗜好(しこう)は淡泊な魚より、トロやブリなど脂の乗った魚に変化している。魚離れが進んだことも、ヒラ人気がいまひとつとなった理由だろう」と指摘。水産物全体の盛り上げを図りつつ、ヒラの消費拡大に結び付けるには「脂をうまく取り入れた料理法、つまり現代の味覚に合った調理法の開発と、それを効果的に宣伝していくことが求められる」と提言する。

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July 06, 2020 at 03:15PM
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