Friday, December 10, 2021

魚も 肉も 値上げ相次ぐ|NHK 関西のニュース - nhk.or.jp

いま、輸入品を中心に肉や魚の価格が高騰しています。
クリスマスやお正月といったイベントを控えるこの時期、私たちの食卓にも影響がおよび始めています。

【スーパーの鮮魚売り場は】。
大阪市内のスーパーでは、買い物客からこのところの魚介類の値上がりに不安の声が上がっています。
買い物に訪れた40代の会社員の女性は、「ふだんよく使うしゃけやさばが高いと感じることが多い。最近は魚を買わないようになりました」と話していました。
また、80代の男性は、「家の近くにスーパーが3つあるが、どこも少し高くなっている。正月が近いからカニを買おうかと考えていたが、値段をみて迷っている」と話していました。
このスーパーでも海外産のマグロやしゃけ、それに、さばなど売れ筋の魚の仕入れ値が、去年に比べて2割から3割高くなっているということです。
しかし、消費者の負担につながる値上げは避けたいと、刺身や切り身など売り場の商品の価格には転嫁せず、しのいでいます。
ただ、ロシア産のカニだけは仕入れ価格が去年の1.5倍まで高騰し、ことしはやむなく1割ほどの値上げを余儀なくされたといいます。
このスーパーの鮮魚売り場の責任者の中村尚幸 総統括は、「お客さんに迷惑をかけないよう、ほとんどの魚を値上げせずに耐えています。ただ、ことしのカニだけは、据え置くことができませんでした。今の状況が続けば、会社としては大変、厳しいが、できるだけ値上げしないよう頑張っていきたい」と話していました。

【卸売り会社“経験ない高さ”】。
大阪市にある水産物の輸入卸売り会社によりますと、原油高に加えてコロナ禍で落ち込んだ経済活動を再開させたアメリカや中国の需要拡大によって、魚介類の輸入価格が高騰しているといいます。
大阪・東住吉区にあるこの水産物の卸売り会社は、年末や正月で需要が高まるこの時期、1か月およそ1000トンの魚介類を輸入し、仲卸会社を通じて飲食店やスーパーに販売しています。
このところ、水産物の輸入価格は軒並み高騰していて、特にロシア産のカニは去年の同じ時期のおよそ1.5倍、サーモンやエビ、それにウナギやホタテなども2割から3割ほど値上がりしているといいます。
その理由について、▼原油高によって水産物の漁や輸送のコストなどが上がっていることに加え、▼コロナ禍で日本より早く経済活動が再開したアメリカや中国で消費が急激に拡大し、取引価格が高騰しているためだとしています。
この会社の三好広保 常務は「アメリカや中国の新型コロナからの消費の回復は早く、今はどんな高値でも買っていく、日本が買い負けしている。水産物全体の価格がこれだけ高騰するのは、今まで経験したことがない」と話しています。
そのうえで「取り引き先からは毎回、価格の高さに驚かれ、卸売り会社としてはつらい状況だが、少しでも安く仕入れられるよう頑張るしかない」と話していました。
今の状態が続けば、年末以降、品薄になる可能性もあると懸念しています。

【伊藤ハム 来年3月から自社商品値上げへ】。
大手食品メーカーの「伊藤ハム」は、原料の豚肉や牛肉などの価格高騰を受けて、スーパーやコンビニと共同で開発するものを除く、すべての自社商品を来年3月から値上げすると発表しました。
日本ハムも先週、ハムなどの値上げを発表しており、価格を見直す動きが相次いでいます。
「伊藤ハム」は、全国で販売しているハムやソーセージなど230品目について、取引先に納品する際の価格を来年の3月1日分から値上げすると発表しました。
スーパーやコンビニと共同で開発している「プライベートブランド」の商品を除くすべての自社商品が対象で、値上げ幅は4%から14%となります。
このうち、▼主力商品の「グランドアルトバイエルン」などのソーセージはおよそ6%、▼ピザやスナックはおよそ10%、値上げします。
値上げは2014年7月以来、およそ7年半ぶりとなります。
会社では、原料の豚肉や牛肉、それに小麦粉などの仕入れ価格が高騰していることに加えて、輸送費や人件費も上昇しているためだとしています。
伊藤ハムは「全社をあげて生産の効率化を進めて、コストの抑制を行ってきたが、上昇した分をすべて吸収することは極めて困難な状況だ」とコメントしています。

【専門家“高止まりか 戻らない可能性高い”】。
世界の食料事情に詳しい資源・食糧問題研究所の柴田明夫 代表は、「指標を見ると、あらゆる食料品がこの1年間で値上がりしている。感染拡大の初期には需要が抑えられていたが、ワクチンの普及などに伴う経済の回復で需要も一気に回復した。これに対して、人の移動が制限される状態が続いて労働者が不足し、生産や物流に影響が出るといった供給面の目詰まりが起きた」と述べ、需給のひっ迫が背景にあると指摘しています。
さらに、柴田代表は「円安に加えて、海上運賃の高騰、それに原油の値上がりに伴う燃料代の値上がりも重なり、輸入価格が引き上げられている」として、多くの食料を輸入に頼っている日本特有の事情も重なっているという見方を示しました。
そのうえで、今後の見通しについて、柴田氏は「中国と日本の争奪戦に加えて、今後は東南アジアなどでは人口が増加し需要が高まってくる。どんどん値上がりしていくという状況ではないにしろ、高止まってくる、あるいは、元の値段には戻らない可能性が高いと見ている」と分析しています。

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December 10, 2021 at 04:38PM
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